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マッキントッシュとホステスさん。

上機嫌の対語は下機嫌、なのだろうか。

また mac が壊れてしまった。先日壊れたやつは現在交換品の到着待ちで、そのあいだ古いやつを使っていたのだけど、今度はそれが壊れた。きっと世の中にはそういう作業を苦にしない人もいるのだとは思う。なので一般化して語るつもりはないけれど、少なくともぼくは壊れたパソコンの復旧というのか修復というのか、そのへんの作業がほんとうに苦手で、やっているともう手に取るように機嫌が悪くなっていく。

なぜだろう、なぜかしら。

たとえば最近、オフィスの冷蔵庫が壊れた。なにも冷えなくなった黒色のそれは、文字通りのブラックボックスと化した。しかし壊れた冷蔵庫について、ぼくが不機嫌になることはない。寿命がきたのだなあ、と思い、そういえばどこのメーカーとも知れない中国製の激安品だったものなあ、と購入時のことを思い出し、あたらしい冷蔵庫に買い換えるだけである。

しかしパソコンはちょっと違う。「ときどき調子が悪くなるもの」として販売されているパソコンは、「調子が悪くなったらこれを試しなさい」的な話がメーカーのサイトにも、個人のブログにもたくさんあふれている。「command + R」を押しながら再起動し、その後これを選択し、ああしてこうする的なあれこれが。

つまりパソコンという機械は「故障」と「不調」の境界線がきわめてあいまいであり、ゆえにこちらのあきらめが悪くなってしまうのだ。いつまでもぐずぐず何時間も、治るとも知れないリカバリ策に人をとどまらせるのだ。その四苦八苦する姿はまるで、思わせぶりな態度のホステスさんに多大な時間と金品とを捧げる中年男性のようだ。その気がないならないと、はっきり言ってくれ、パーソナルコンピュータよ。

というわけでいま、古いパソコンの OS を再インストールしている。あと何時間かかるかわからない。よって iPhone でこれを書いている。

書き終えたら本でも読もう。そして早めに帰って、犬を撫でよう。それがぼくにとっていちばんの、上機嫌ドリンクなのだ。