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あのころを超えるカロリーを。

先週は、ふたつのコンサートに足を運んだ。

ボブ・ディランと、エリック・クラプトン。とても令和5年とは思えない並びだ。「まあ、おっさんたちはそういう懐メロでも聴いておけばいいさ」なんて思う人もいるだろう。ぼくにしても正直、ライブを観に行くというよりも、「あの人を拝みに行く」みたいな気持ちのまま、会場に向かった。

ところが今回、ふたりともすばらしかった。

なんて言うんだろう、渋みとか円熟味とかで勝負しようとするのではなく、存分に荒々しいステージだった。ふとした瞬間に「あれ? もしかしたら、これこそが最新型、最前線のロックって言えるんじゃね?」と思ってしまうほど、カロリーに満ちたステージだった。「これはこれで全盛期って言えるんじゃねえの?」というほどに。

前回ボブ・ディランが来日したのは2016年。クラプトンは2019年だ。率直なところおふたりとも、そのときはそんなによくなかった。「十分いいんだけど、前ほどではない」が正直な感想だった。それもあって今回は、あまり音楽的な期待をかけることなく「拝み」に行こうと思っていた。

なのに前回をはるかに凌駕するステージなんだもんなあ。ボブ・ディランは81歳ですよ。クラプトンだって78歳ですよ。それで何年も前の自分を超えてくるんですよ。技術とかじゃない部分で。

なんかねー。「成長する」とか「成長した」って、言えばいくらでも言えるものだと思うんですよ。それこそ円熟味とか洗練みたいなところを指すのであれば。でもそうじゃないんだよなあ。おれが自分にほしいのは、そういう成長じゃなくって、「あのころを超えるカロリー」なんだよなあ。

まさかのまさか、81歳と78歳のレジェンドに刺激をもらいまくりました。

クラプトンは久々にオリジナル版の(アコースティックではない)レイラを演ってくれました