見出し画像

あこがれのジルコニア。

先ほど歯医者に行ってきた。

徹夜明けのおっさんが、充血した目で無精髭を生やしたおっさんが、清潔感を絵に描いたようなデンタルクリニックに出向き、口をおおきく開いて口腔内をいじいじされる。こんな小汚いおっさんでごめんよ、立身出世を果たしたらシャワー室のあるオフィスに引っ越すよ、というか徹夜しなくてすむ働き方改革に邁進するよ、と羞恥にさらされながら治療を受ける。

本日分の治療が終了したのち、歯医者さんから「被せもの」についての説明を受けた。じつはいま、奥歯のインプラント治療をおこなっているのだけど、その義歯にどんな素材を選びますか、という話だ。歯医者さんは金属製の義歯、通称銀歯から説明に入り、それでもこれくらいの価格になってしまうのだと申し訳なさそうに語る。そして見た目もきれいなセラミックだとこんな価格になってしまうんですよねえ、と語る。暗に「見た目さえ気にしなければ銀歯でも十分だと思いますよ」を匂わせながら。彼がもってる説明表にはセラミックの上に最上位と思われるジルコニアという素材の被せものがあるのだけど、それについては説明さえしようとしない。


こんな風貌だから、だろうな。


ぼくはさみしくわが身を振り返る。もしもぼくが叶美香さんみたいなルックスとファッションだったらば、歯医者さんは間違っても銀歯などすすめないだろう。セラミックすらも素通りして、あこがれのジルコニア、がんがんにおすすめするだろう。

歯医者さんから迷うことなくジルコニア一択のおすすめを受けたとき、ぼくはおのれの立身出世を自覚するのだと思う。

……って、すみません、忙しすぎて眠すぎて、きょうはこんな話しか思いつきません。