しかるべき人に、しかるべき企画を

小学一年生のとき、クラス会で大平総理のものまねをやって、まったくウケなかったことがある。もう少し正確にいうと「大平総理のものまねをする大人のものまね」だったわけだけど、そしてただ「あ〜、う〜」と唸っていただけなんだけど、見事なくらいにウケなかったのを覚えている。

大平総理の前任者、福田赳夫さんについてはほとんど記憶がない。ぼくにとって「はじめての総理大臣」は大平正芳さんであり、おかげで「総理大臣」の語には、なんとなく、ずんぐりむっくりした鈍重なおじさん、とのイメージがつきまとっている。おそらく「はじめての総理大臣」が福田さんや三木さんだったら、ぜんぜん違うイメージをその語に重ねていたのだろう。

……なんて話を思い出したのは、ほかでもない。なんでも明日、田中角栄さんを一人称の主人公とする小説が刊行されるのだそうだ。しかも著者は、ずっと田中派・竹下派と敵対してきた石原慎太郎さん。版元は当然、幻冬舎。

この2年くらい、局地的な田中角栄ブームがあるのは実感していたんだけど、その気配を逃すことなく、もっともしかるべき人に、もっともしかるべき企画を持ち込む見城徹さんという編集者、ほんとうにすごいなあ。手っ取り早く小銭を稼ぐだけなら、テキトーにまとめたムック本とかでぜんぜん回収できるんでしょうけど、これをやっちゃうんだもの。

おもしろいかどうかはわかりません。でも、読んでみたくなるのは間違いないです。タイトルも装幀も、すごくいい。

「はじめての総理大臣」が田中角栄というひとだったら、ぼくの総理大臣観はどうなっていたんだろう。

鬼にカネボウ。
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古賀史健

コメント2件

この本すごいですね。いい企画&タイトル&装丁&著者。つまり完璧。
まじで完璧。すごい方ですよ、やっぱり。
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