外資系企業ということば

むかしから「外資系企業」ということばに疑問を持っていました。

たとえば、日本の企業は遅れている、外資系企業ではこんな制度が取り入れられている、あなたたちも外資系企業に見習いなさい、という議論。このときほとんどの人たちは、「外資系企業」のことを、「欧米の企業」だと考えるわけです。

でも、ぼくらが知っていて、すごい企業だなあと思う企業って「欧米の企業」ではなく、「グローバルな企業」なんですよね。

つまり、GoogleとかAppleとかの超グローバル企業は、アメリカでも特殊すぎるほど特殊な存在なんですよ。それ以外のところでいえば、どこの国もドメスティックな企業がたくさんあって、ドメスティックな商習慣を抱えていて、けっこうどうしようもない状況も多いんじゃないかなと思っています。

だからこそ、いまシリコンバレー発の「あたらしい組織のつくりかた」や「あたらしい働き方」に関する本がたくさん出ている。これは日本の読者に向けられた本であるよりずっと以前に、アメリカの読者、アメリカでドメスティックな価値観のもとに働いている読者に向けて書かれた本なんだ、という視点は忘れちゃいけないなあと思っています。

そのうち「日本企業か、アメリカ企業か」みたいに登記上の国籍で考える時代も終わって、「ドメスティック企業か、グローバル企業か」と、相手にしている市場で考える時代になる。「欧米の企業」というニュアンスでの「外資系企業」ってことばは死語になる。

そんなふうに考えています。

馬の耳に壇蜜。
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古賀史健

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