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ネパールに学校をつくったひとたちのお話

アジアの貧困国に学校をつくる。

子どもたちのために、クラウドファンディングでお金を集めて学校をつくる。

そんなふうに聞いて、「そういうの」はもうお腹いっぱいなんだよね、と思うひとは多いのではないだろうか。少なくともぼくは、完全にそのひとりだ。おかげでこのプロジェクトをどう紹介したものか、いまだうまいことばが見当たらない。


ネパール出身で東京に住むシャラド・ライくんが、母国ネパールに学校をつくるため、クラウドファンディングによる資金集めに奔走している。年度末である今日、2016年3月31日がその最終期限日だ。

ぼくはふだん、自分より年齢が若いというだけの理由で「くん」付けすることはしないのだけど、むしろそうやって無自覚に上下を示すひとがあまり好きではないのだけど、一度しか会ったことのないライくんに関してはなぜか、「くん」で呼びたくなる。彼は、なにかが他とは「違う」のだ。

いったいなにが違うのか。

まず、「クラウドファンディングで学校をつくる」の前提が違う。彼はすでに学校をつくっている。日本でアルバイトしたお金と、友人たちに出してもらったお金(およそ30万円)で、すでに学校をつくっている。最初に建てた校舎は木と竹によるもの。

その後ライくんたちの活動を知った人たちから寄付が集まり、現在はレンガとコンクリートによる2階建て校舎ができている。

いま、クラウドファンディングであたらしい学校をつくろうとしているのは、5年前に自前でつくった最初の学校が、存続の危機に立たされているからだ。そこでネパールの大都市に先進的な学校をつくろう、そこで上がった収益を最初の学校に還元し、存続させていこう。———そんなプロジェクトが、今回のクラウドファンディングだ。

この「すでに自費でやっている」「他人のお金や善意に頼ることなく、自分のお金とリスクで動き出している」という点は、冒頭に述べた「そういうの」と大きく異なるポイントだと思う。

ぼくがそれをいちばん強く感じたのは、ライくんたちのつくった学校に通う、赤い帽子をかぶった子どもたちの話を聞いたときだ。ネパールの山奥につくられたライくんたちの「YouMe小学校」の子どもたちには、揃いの赤い学帽が配られている。

ライ その通学帽はほんとうに、子どもたちにとっては、宝物なんです。自分の家から学校まで通うために6歳の子どもが毎日5km、山をのぼります。通学中にその帽子をかぶると、村のみなさんから「あ、日本人みたいな子どもが来た、来た」って声をかけられるんです。子どもたちはそう言われてうれしくてたまらないらしいです。お家でご両親がちょっとでも帽子にさわろうとしたら子どもからめっちゃくちゃ怒られる、という話を聞きました(笑)。

ほぼ日刊イトイ新聞 「僕たちが故郷に学校をつくったわけ」より

もう、そこで動き出した物語がある。
変わりはじめた人生がある。
止まってしまうには、あまりにもったいない営みがある。

この説得力は、ライくんたちが「つくった」おかげなのだし、「クラウドファンディングで目標達成したらやります」のひとたちとは全然違うと思うのだ。「ぼくらの夢に出資してください」と言われているのではなく、こっちのほうから「その夢にぼくもまぜてください」と言いたくなる、というか。

なんとか「土地の購入」まで行ってほしいなあ。


プロジェクトの詳細はこちらを、
ぼくが、ネパールに学校をつくる! 28歳シャラド・ライの挑戦。

ライくんたちの物語についてはこちらを、それぞれご覧ください。読みものとしても、とても充実したものだと思います。
ほぼ日刊イトイ新聞「僕たちが故郷に学校をつくったわけ
ほぼ日刊イトイ新聞「ライくんとジョシくんの『夢の学校』をつくるお話


※投稿中の写真は、上記のページより引用させていただきました。