そしてぼくは本をつくる。

本をつくるって、どういうことなんだろう。


きょう、あらためてそんな自問をする機会を与えていただいた。みんな簡単に「本は残る」と言う。ぼくもいろんな場所で、その言葉を口にしてきた気がする。けれどもじつは、商品としての本は、そうそう残ってくれない。たとえばいま調べたところ、10年前(2006年)のぼくは、その年だけで15冊の本をつくっている。そしていまも本屋さんで簡単に手に入る本は、15冊のうち1冊もない。当たり前といえば当たり前かもしれないけど、新潮文庫の海外古典なんかとはぜんぜん違うわけで「残っていない」のだ。

じゃあ、本ってなんなのか。どうしてあんなに長いのか。そこで本は、なにを提供しているのか。


暫定的な答えではあるけれども、ぼくは「時間」だと思う。

本は情報を提供しているのではなく、内省する時間を提供しているのだし、だからこそあんなに長いのだと。本を読むとき人は、そこに書かれた情報を読んでいるのではなく、作家の心情を読んでいるのでもなく、なによりもまず「じぶん」を読んでいる。じぶんの日々を、過去や未来を、こころの奥を読んでいる。少なくともぼくは、そういう本を読みたいし、つくっていきたい。

きょう、1冊のたいせつな本が動きはじめた。

1冊の本をつくる、あの贅沢な時間がはじまり、そこに費やされた時間は、やがて誰かのたいせつな「じぶんを読む時間」になるはずだ。


恍惚と不安、ふたつ我にあり。って、なつかしいことばですね。

郷に入ってはひろみに従え。
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古賀史健

本・書店・出版の話

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コメント1件

大事に本を作る。すごく刺激になりました!
ありがとうございます!
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