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読後のホイッスル

一冊の本をつくるとき、ぼくがぜったいに抑えなきゃ、と思っているポイントはみっつあります。

ひとつは、情報の希少性。週刊少年ジャンプの名コピー「○○先生の漫画が読めるのはジャンプだけ」ではありませんが、ここでないと読めない、ここでしか手に入らないといえるだけの情報が、しっかり盛り込まれているかどうか。これは企画段階での詰めが、大事になる部分です。

ふたつめが、読みものとしてのおもしろさ。途中で退屈することなく、次のページをめくりたいと思ってもらうことができるか。そして刺激的なスパイスや定番の化学調味料を極力控えながら、最後まで胃もたれすることなく完読してもらえるか。ここはライターとして、最低限クリアしないといけない課題ですね。

そしてみっつめが、読後のホイッスル。「読んだらおしまい」にとどまらない、「読んでからはじまる」なにかが盛り込まれているか。最後のページを読み終え、本を閉じて顔を上げた瞬間、まわりの景色が違って見えるか。これ、いちばんむずかしい課題ではありますが、いちばんたいせつな課題でもあるので、いつも意識しているところです。

情報の希少性、読みものとしてのおもしろさ、読後のホイッスル。

このみっつが揃ったとき、ようやく5年10年と残ってくれるような「いい本」ができあがる。だから講談社さんの「おもしろくて、ためになる」ってコピー、大好きなんですよね。

もちろん、ぼくの note でもこのみっつを兼ね備えた話が書けるといいのですが、なかなかそうもいかないところです。