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野ウサギとライオン。

大型連休がおわったばかりだというのに、なにをやっているのか。

休んでいる。羽を伸ばしている。のみならず犬と、旅に出ようとしている。本日から3泊4日、近県の貸別荘で犬とのんびり遊び暮らすのである。多くの人はこういうとき、「携帯&メールは通じますので緊急の場合はいつでも」などと関係各所に一報を入れたりするものだが、そしてぼくも聞かれればそう答えるだろうしパソコンも持っていくのだが、正直仕事をするつもりはまったくない。オール・フォー・わんわん。それが今回の合言葉だ。


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「ライオンから追われた野ウサギが、肉離れを起こしますか? (肉離れを起こす選手は)準備が足りないのです」

サッカー元日本代表監督、イビチャ・オシムの有名なことばだ。知将として名高く、実際に「考えるサッカー」を選手たちに求め続けてきたオシムだったが、その根底というか、大前提にあったのは「ひたすら走るサッカー」だった。そして筋肉痛や肉離れを「準備不足」と退け、野ウサギの話を語るのである。ちなみにこのエピソード、「野ウサギを追うライオンが、肉離れを起こしますか?」と語ってしまうとすべてが台なしである。弱者の象徴みたいな野ウサギだからこそ、選手との比較対象としておもしろいのだ。

で、この逸話を思い出したのは、うちのわんわんを考えていた昨夜である。

うちの犬、月に何度かドッグランに連れていくのだけど、たのしげに走りまわる姿をほとんど見かけたことがない。2時間以上ドッグランのなかで過ごして、一度も走らない日だってあるくらいだ。どうやら、ほかの犬がいるとうまく走れないらしい。

しかし、本日から向かう貸別荘にあるようなプライベートドッグラン、すなわちほかの犬がいないドッグランでは、おおよろこびで走りまわる。いつまででもボール投げをくり返す。そんな彼の笑顔が見たくて今回また遊びに出ているのだけど、ときどき心配になってしまうのだ。


「こいつ、筋肉痛にならないのかな」
「筋肉痛を飛び越えて、肉離れを起こしたりしないのかな」


家のなかで一緒に暮らしているかぎり、ほとんど野生を失っているように見える彼だけれど、さすがに「急に走ったおかげで、肉離れになりました」なんてことになったら笑うに笑えないだろう。

明日、明後日、明明後日。きょうのこれよりずっと無内容な犬日記になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。