きょうも増える、わたしの貯金額。

もしそこに、派閥があるのだとしたら。

わたしはスマートウォッチ反対派である。反対どころか、嘲笑の対象としているといっても過言ではない。みんながスマホを持っているという前提で語るなら、腕時計でメールやツイッターやらを確認するインセンティブが、どこにあるのか。しかも腕時計は装着するもの。随意に持ち歩くスマホと違って、毎日装着しなければならない。その装着品を毎日充電しなきゃならないなんて、バッテリー残量を気にしながら歩かなきゃならないなんて、つける意味があるのか。そもそも腕時計と何かをくっつけようというアイデアは、あんまりにも非イノベイティブではないか。

そんなこんなで絶対にコケると思っていたスマートウォッチ、大々的な流行となることもなく、けれどもぼくみたいに目の敵にするバカボンが大量発生するわけでもなく、水や空気のように、とまではいかないにせよ、抹茶プリンくらいの市民権は得ているのではないかと思う。


ところが、どうやらぼくは前言を撤回せねばならない。

いちおうはスマートウォッチに分類されるであろう腕時計、Withing Steelを買ってしまったのだ。そしていまのところ、快適に使っているのだ。

犬と暮らし、散歩が日課となってからというもの、その日の自分がどれくらい歩いたのか、具体的な数字で知りたくなっていった。もちろんスマホには歩数計の機能もついているのだけど、バカボンなぼくはスマホを忘れて散歩することも多く、毎日の歩きを正確に記録することができない。とはいえ、いわゆる歩数計を持ち歩くのはイヤだし、連日の充電が求められるスマートウォッチもイヤだ。

そんな日本人中年のことを思ってつくられたわけではないだろうが、この腕時計はぼくのニーズをほぼ完璧に満たしてくれている。

電池式で、8か月の連続使用が可能。スマホアプリと連動して、歩数や移動距離、消費カロリー、それから睡眠の記録などをとってくれる。そしてなによりメカメカしい外観ではなく、見た目も付け心地もふつうの腕時計。


それで思ったんですけどね、ときどき道ばたでニッコニコに笑いながら、ルンルンで歩いてるひとを見かけるじゃないですか。ああ、たのしげな音楽でも聴いてるのかなー、と思ったらヘッドフォンも見当たらず。あのひとたち、ずっと謎だったんですが、ひょっとしたら歩数計をつけて歩いてるのかもしれないですね。それくらい最近、歩くことがたのしいです。

なんか、歩数を貯金してる感覚で。

椅子の上にも3円。
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古賀史健