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読めたもんじゃねえ、ですよ

2泊3日での「嫌われる勇気」韓国プロモーションツアーを無事に終え、搭乗前の金浦空港でこれを書いています。

ありがたいことに、韓国語版の「嫌われる勇気」は75万部を突破し、台湾語版も現在19万部、日本語版の82万部と合わせると、3カ国で176万部という、ちょっとよくわからない数字になってきました。

それで今回、韓国でもたくさん訊かれたのが「この本がここまでヒットした理由はなんだと思いますか?」という質問です。

この「ヒットの要因」って、それらしいことを語ろうと思えばいくらでも語れるんです。SNS時代の人間関係がどうしたとか、挑発的なタイトルが云々とか、混迷する時代がどうのこうのとか。

でもそれは、せいぜい「ヒット商品を通じて、時代を読む」という後付けのアプローチであって、決して「時代を読んで、ヒット商品をつくる」ではないんですよね。

そしてなにより、時代を読んだつもりになってつくられるコンテンツは、かならず小手先の代物になります。小手先でつくったコンテンツは、簡単にメッキがはがれ、長持ちしません。ものをつくる人間は、企画をこねくりまわす時間のうち3分の1でもいいから「時代を読む」ことを忘れるべきなんです。


彼の地で「この本がここまでヒットした理由はなんだと思いますか?」を訊かれ、そこに分析的な答えを返すたびに、どこか自分が嘘をついているような、口先八丁でごまかしているような、ちいさな違和感を感じていたのでした。