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梅雨明けは、夏のはじまりではない。

報道によると本日、関東甲信地方が梅雨明けしたのだそうです。

梅雨明けとは、すなわち夏入り。夏のはじまり。うわあ、今年も暑くなるんだろうなあ、と思われたみなさま。ちょっと待ってください。

もしも梅雨明けが夏のはじまりだとすれば、日本は四季の国ではなく、五季の国なのだという理屈になります。つまり、春のつぎに梅雨があり、梅雨のつぎに夏があり、そこから秋やら冬へとつながっていくことになります。でも、季節を五つに分けて考えているひとなんていませんよね。

だとすれば梅雨とはいったいなんなのか。それは春の一部なのか、夏の一部なのか。もしも梅雨が夏だとするならば、梅雨入りすなわち夏のはじまり、といえるのか。しとしと雨が降ってかたつむりがよじよじ歩く6月は、もうすでに夏だったのか。


ここで登場する接頭語が「初」と「晩」です。

夏のはじまりを初夏と呼び、秋のおわりを晩秋と呼ぶ。そんなグラデーションのことばをくっつけることで、あいまいなる季節の変わり目に名前をつけてしまおう。じぶんたちの現在地を、いつでも確認できるようにしておこう。

梅雨とは、春でも夏でもなく「初夏」なのだ。山々に紅葉が残っているかぎりは、凍えるほどに寒くても「晩秋」なのだ。われわれはいま、グラデーションの「あわい」に立っているのだ。

かなりの名案です。


四十歳になったとき、それが「初老」と呼ばれる年齢であることに、かなりの戸惑いをおぼえました。でも、なにかの終わりを感じさせる「晩若」よりは、いっそはじまりのことばである「初老」のほうがいいのかなあ。

まあ、晩若なんてことばは存在しないのですが。