あなたにほめられたくて。

こんなことを公言してしまうのもどうかとは思うけど。

書き手としての自分を冷静に考えてみたとき、ぼくはそんなに優秀な人間ではないと思っている。謙遜ではなく、ポーズではなく、つくづく本音でそう思う。書きながらぐるぐるの道に迷い込むのは毎度のことだし、もっとうまく書けるはずなんだけどなあ、との思いはこの歳になっても消えることなく、もしかすると20代のころのほうがもっと自信満々に、どうだ、これ以外にないだろう、と書いていた気がする。

じゃあライターとしての自分をだめだめなポンコツだと思っているかというとそれはちょっと違って、かなり独善的に「この点についてだけは、自分を信じてもいい」と思っているところがある。


読者としての自分だ。


ひとりの読者として、なにを「おもしろい」と思うか。どこを「いい」と思うか。あるいはどんな理由によってそれを「つまらない」と思うか。究極的には個人的好悪にならざるをえない話だけど、このへんのジャッジについては一定の自信をもっている。どんなに評価が低いものであっても「おれがおもしろいと思ったものは、おもしろい」と言えるし、周囲のみんながおもしろがっていても、それに流されることなく「ぼくにはこれのおもしろさがわからない」と言える。

つまりぼくは、「読者のおれ」がおもしろいと思えるものを書けばいいわけであって、もしも書き手としての自分になんらかのアドバンテージがあるとすれば「読者のおれ」への絶対的な信頼、それだけだ。

ただし問題なのは、最近「読者のおれ」がなかなかおもしろいと言ってくれないこと。どういうつもりなのかコイツ(読者のおれ)は、年々ぼく(書き手のおれ)の文章に飽きてきているらしく、書いても書いてもおもしろいと言ってくれない。


今週はラストスパート。ただただひたすら、がんばります。

椅子の上にも3円。
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古賀史健

何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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