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デザイナーは絵が描ける必要があるのか?[私見]

デザイナーは絵が描ける必要があるのか?

ちょいちょい見かけるこのテーマ。

「描けないとダメ」
「いやそんな必要はない」

それぞれの立場でいろんな意見がありますが、宮里個人の意見としては、

絶対に描けないといけません。
正確には、デッサンができないといけません。

です。以下理由を述べます。

「絵が描ける」とは

そもそもですが、「絵が描ける」とはどういうことでしょう? たぶん人によって思い描く「絵が描ける」のレベルがちょっと違う気がします。なので、まずその定義をしましょう。

ざっとですが、

1. 他者が見て「○○だ」と認識できる
2. 形が正確に再現できてる(ドローイング)
3. 陰影まで正確に再現できてる(デッサン)
4. 絵柄に独創性があり雑誌や広告で使用できる
5. 市場で1枚数十~数百万円の値が付く

と5段階で分けてみますと、デザイナーは最低 3 までは行っている必要があると考えます。4 になるとイラストレーターとして、5 まで行くとプロの画家として食べていけますので、デザイナーなんか辞めちゃっていいでしょう(もちろん並行してもいいですけど)。

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うまくない上に描きかけの宮里のデッサン(笑)

なので以下本文では、

絵が描ける=デッサンができる

と定義して話を進めることといたします。イラストレーターや画家ほどの「独創性があり市場に受け入れられる画作りができる」ことは求めません。

なぜ絵が描ける必要があるのか

そもそもですが、こんなこと言ってるのはおそらく

無学でデザイナーになってしまった人、
もしくはなろうとしている人

だと思います。なぜなら美大・芸大で学んでデザイナーになった人は、入試で必須科目のデッサンをパスしています。当たり前ですが描ける人だということです。つまり描ける描けないの議論をする意味がそもそもありません(だって描けるんだもん)。

「描けなくていいっしょ」と言ってるのは、描けない自分をどうにか正当化したい人です。でしょ? デザイナーは日々の業務で絵なんか描きません。だったら必要ないじゃない。そう思いたいんですよね?

しかし残念ながら、デッサンのできないデザイナーの作るデザインは、はっきり言ってショボショボです。グズグズです。ヨワヨワです。

そもそも美大・芸大の入試にデッサンが必須なのはなぜでしょう?

なぜデッサンをするのか

やっていれば解りますが、デッサンは「画力」ではなく「目」のトレーニングです。

ヘタな人の絵がヘタなのはなぜか。それは「目が悪い」からです(視力の話ではありません)。「目が悪い」から「対象と自分の描いている絵の形のズレが判らない」んです。ちゃんと見えてない。だから崩れたまま描き進めてしまい、ヘタクソな絵ができあがってしまうんです。

そんな、形の狂いが判らない目でつくるデザインが、果たしていいものとなると思いますか? 絶対になりません。

必ず何かが小さすぎ、
何かが大きすぎ、
何かが離れすぎ、
何かが近すぎて、
レイアウトが崩れてます。

そんなデザインから脱却するためには、デッサンは必須です。

そんな宮里はどうなのよ

私も美大は出ておりません。独学です。が、日々ショボショボのデザインを量産している内に、「どうしてもデッサンは必要だな」と感じました。

そう感じてからは、本屋でデッサンの本を数冊購入し、ひたすら模写を繰り返しました。自宅のいつも座っているソファの横のマガジンラックにはスケッチブックと本を置いておき、テレビを横目で見ながら模写する日々でした。たまに飽きては、その場にあった雑誌の写真やマンガなどを模写していました。それらのスケッチブックはほぼ捨ててしまっているんですが、奇跡的に残っていたものから恥ずかしながら公開します。

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右上は確か竹野内豊(似てない)。右下は敬愛する田中一光先生
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HUNTER×HUNTERから模写。まだ連載してたなぁ(今もしてる?)
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向かい合わせのページに描くと
お互い画面を汚してしまうので止めましょう…
2008年の年賀状。ネズミは手描き

20年ほど前に一年ぐらい続け、多少画力が上がったところで辞めてしまっておりますが、最近 iPad を購入し、また絵を描き始めています。今度は少ない線で輪郭だけを素早く拾うドローイングを練習しています。これもなかなか難しく、苦戦中です。

結論

改めていいます。個人的な意見にはなりますが、

デザイナーは絵(デッサン)が描ける必要がある

と思います。デッサン力はアスリートにとっての「筋力」みたいなもの。走る・跳ぶ・投げるをするため、技術以前の基礎体力です。学歴がなく逃げているデザイナー諸君、ひとつ上のレベルに登りたいなら、絶対にやってみることをオススメします。

カフェラテおごってください。