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イベントに対しての僕の姿勢

先日PUMという、群馬は前橋で行われたフードと古着、音楽(DJ,レコード)がミックスされたイベントに参加しました。お誘い頂いたのが半年前くらいだったので時間もあるし、色々イベントにも思うことがあって、主催の方に自分の思いを伝え一度ミーティング。

個人的にお店から行ける距離でみんなで集まってイベントーってやるのはなんだか意味があるのか疑問でなかなか出る意味が見出せずほとんどお断りしていた。もちろん出ればお店の宣伝にもなるし集客にも繋がるだろうし、その日の売上もまずまず取れるけどそんな目先のある意味答えの見えた事にあまり興味がなくそんな事よりそれをやる意味ってなんなん?っていうところが引っかかっていた。

今回は主催の方にこのイベントをどうして行きたいのか。そこを伺ったときに普通の事してても次のステージはないなと思ったのでイベントとして当たり前とされているところから、はみ出て良いですか?と聞いたら何でもやっちゃって下さいとの事でしたので参加を決めました。

何かアクションを起こす時にいつも普通の事はしたくないというのが前提にあって、何も考えないで何かをするのを僕は一番嫌う。考えて準備をして何か刺激を与えたいし考えるきっかけになってほしい、そんな事やっていいんだ。出来るんだ!って。もっともっと楽しい事出来るじゃんって方向に行きたいと思う。

古着屋さんが出るイベントは皆古着を持ち寄る訳だけど、お店があるからお店で見た方が沢山見れるし、ゆっくり試着も出来る、いろんな店舗があるからすごい数の古着を見て自分の好きを探していく。じゃあなんでイベント出るんだ。そうなるとそんな当たり前から脱出しないと僕の中には何も生まれない。僕はそんな沢山の出店者様の中で同じ事をしてもその次の自分に何も残らないし得られない。

そして今回お店で裾上げをして出た切れ端をずっと1年間溜め続けていてそれを使ってそこでしか買えないものを作ろうと思い行動に移しました。お店の商品は一切持っていかず、全てハンドメイドの商品3点のみ。そしてオークション形式での販売。そんなイベントでは前代未聞の企画を持って挑みました。特に私は古着屋を開業するまでアパレル製造業にいた方が長かったので僕にしか出来ない事、そこに拘りこの手法が望ましいなと辿り着いた次第です。

こんな感じで裾を3.5cm幅に切り揃えて永遠にパッチワークを作りました。ログキャビンという縫い方です。写真は裏側なので凄まじい事になっております。これである程度の形になったら自分で型紙を取り既存の古着とドッキングし完成。

背面に叩きつけました。前は既存の古着そのまま。
こんな手の込んだリメイク2点ともう一つは型紙から裁断縫製全て100%オリジナルのもの、このイベントのメインとなるものを作ろうと思い、USEDのエコバックを集めてカバーオールを作りました。

エコバックを裁断し繋げていく作業。ここが一番大変で洋服になった時にどの柄がどこに来るかを想定しながら絵柄を組んでいきます。一つの大きな生地を作っていると思って下さい。エコバック25枚を使ったので一枚目をどこに置くか決まらないと何も始まらず大変でした。でも作っている私は楽しいし、早く形になったものも見たいし、どんどん作業は進みます。型紙も久々にガッツリ書いたので一度、違う生地で裁断し縫製、形を見ては少し修正をしながら作っていきました。

これも生地を繋ぎ合わせた所謂大きめパッチワークなので裏地を付けないといけない為総裏となります。エコバックで無地の部分を繋ぎ合わせて洋服の裏地にしました。カバーオールなので最低限という事でダブルステッチで仕上げました。お店にあるアメリカ製の60'sのデニムのカバーオールを大元の形として作っていきました。片側胸フラップ、ペン差しポケット、腰ポケ2つ。

完成直前の写真ですが一度形を確認した時に撮った写真がこちら

ここから袖口の処理、裾の処理、ボタンホール開け、ボタンの打ちつけで完成です。襟、台襟、前立て、フラップの片側に接着芯を使用しています。頭がパンクしかけながらも楽しさが打ち勝ってなんとかここまで辿り着きました。我ながら超大作です。店舗の営業をしながらですが空いた時間で作業しながらなんだかんだ1ヶ月かかってしまいました。あとやっぱりどうしても一点モノだと製造原価がかかりすぎて高くなってしまう。

そしてそして3点のみで展示する為、魅せ方にも拘り2ヶ月前に現場視察に行き職人さんに出店スペースの寸法取ってもらって什器も製作。こうやってやりたいけどここでそうするにはどうやったら出来るかなの最適解を導き出します。そうこうしているうちにハンガーも特注で作り最高落札者様にそのまま渡すことになりこんなものが出来上がりました。

これもセット販売。当店の八百屋ロゴを配した特注ハンガー。格好良すぎます。これを3個吊して洋服がかかります。素晴らしい空間になりました。こんなのイベントで僕は見たことがないし、こんなに利益を求めない出店者に出会ったことがないし、こんなに挑戦した人は未だかつて居ないと思っています。(知らないだけ)(自分で言うな)ありきたりなワイヤーも使わず拘り抜きました。

結果各店200点並みの商品が並ぶ中、イベントスペースの一角で異彩を放つ私は3点のみ。すごい威圧感となりほとんど人が寄り付きませんでした。それでもじっくり見てくれたり、私にお話を伺ってくれた方には一生懸命説明をし伝わる人には伝わったと思います。が9割の方には届かなかった。でもそういうものを作ったのは自分。そうしたかったのも自分。なるようになったのだと思いました。

やり切りましたが反省点も多々あり物凄く勉強になった出店となりました。全ては自分がここで挑戦を選択しなければ得られなかった事、道をはずさなければ気づけなかったこと、時間をかけて製作しなければ辿り着けなかった自分の商品群達。何もかもが起こらなかった。ここから得ることは大きいです。

本来捨てられてしまうもので作り上げた洋服。自分なりに意味を持って全てのものを製作しました。オークション形式で販売し結果2点のみが旅立ち嬉しくも悲しくもあります。まだまだ裾上げの切れ端が沢山あるので今後店舗でもこの製作は続けていこうと思います。世界に同じものが二つとない、ここだけでしか買えない商品をお客様に提供すべく今日もまた手を動かします。

18歳で服飾の専門に入ってパターンと縫製を学び、生地の卸に入社、生産地を見て回り作る人の凄さに感銘を受け縫製工場に転職、服作りを一通り身をもって学ぶ事を決めていたので3年間で染色工場に転職、その後セレクトショップ勤務を経て今古着屋をやっています。そんな自分にしか出来ない今までのアパレル歴17年の集大成がお披露目出来たと自負しております。それが良かったか悪かったかは別として。一つの形として発表出来たことに僕は自分で感動しました。

2100年とか2150年とかに僕が作って今回お客様の元に旅立った作品が未来の古着屋さんに並んでいると嬉しいです。

僕なりの近場で開催されるイベントへのアンチテーゼです。
僕がイベント主催者ならお客様が普段行きずらい大阪や名古屋、福岡、北海道の古着屋さんが集まるイベントを埼玉や群馬でやれたらすごく意義があると思います。皆が行ける距離のお店を集めるならばもっと工夫しないとありきたりに埋もれるだけ。次に繋がりません。どこか尖ったイベントが一つあってもいいな。そんな風に思います。(偉そうに何だ)

そんな自分ももっと自分の店舗を次のステージにしっかり乗せていけるように地盤作りを頑張らなくては。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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