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【企画参加】鏡に映る私と私|#青ブラ文学部


何度か目覚ましのスヌーズが繰り返してから、希望のぞみは大きく伸びをしゆっくりと起き上がった。

遅く起きた朝、学校が休みの希美は、寝ぼけ眼で洗面台の前に立ち、三面鏡になっている鏡の扉を開け歯ブラシを取る。歯を磨きながら、希望はぼんやりと鏡に映る自分を、三面鏡の中の自分を見ていた。

洗面台の三面鏡は、角度によって合わせ鏡になる。希美は、その合わせ鏡に映る自分が嫌いだったのだ。

合わせ鏡の中の自分の顔が違っている気がするからだ。合わせ鏡の中の顔は、何故か目の位置や顔の輪郭が左右が非対称で歪んで映る。

「何でこう映りが悪いんだろう…?」
いつも気になっていた。

人からすれば、鏡の質などの理由もあるだろうという、気にしすぎと思うようなこと。しかし希望は、あまりにも非対称な鏡の映り方が嫌で仕方ない。

まじまじと合わせ鏡を見ていると、ふと鏡に違和感を感じた。

突然、鏡の中に映った自分が話しかけてきた。
「えっっ!?」
と思った瞬間、周囲がごぉっと音を立てて渦を巻き、希望はぐらっと目眩を起こしてそのまま倒れこんでしまった。

・・・どれくらい経ったのか、自分は何処にいるのか?鏡の中にいて、振り向くと、合わせ鏡の中にいたもう一人の自分が立っている。ぎょっとした希美。するともう一人の自分はこう告げた。

「私はあなた。あなたは私でもあるわ。合わせ鏡に映る自分の顔が嫌いなんでしょ?」
私にそっくりな分身が問いかける。

「え?…う、ううん、別に、、、」
希美はそれ以上、答えられなかった。コンプレックスに思っている自分の心を見透かされたようで苦しく、言葉を濁してしまった。

「私はあなたの心がそのまま出てしまってる分身なの。あなたが自分を、自分の顔を好きになってくれれば、私の顔も綺麗に変わっていくわ。」

「!?」
希望は、分身の言っていることが今ひとつ飲み込めない。私が合わせ鏡の自分の顔を嫌いなの、なんでこの人は知っているの?そもそもこの状況ってどういうことなの?

もう一人の自分が言葉を続ける。 
「あなたが自分の事や顔にコンプレックスを持ち続けると、心が歪んでいくの。それがあなたの分身である私の顔に現れてしまう。だから自分の顔を好きになって欲しい」

「え…う、うん、でもどうすれば…」
希美はそう答えるのが精いっぱい。

もう一人の自分はなおも続ける。
「あなたは、くよくよといつもコンプレックスを持ち続けているのに自覚がないわ。私はそれをあなたに気付かせたかった。もう一度言うけど、私はあなたの心の分身、あなたの心を映す合わせ鏡なの。私はそんな心のあなたを助けたい。なぜかって、あなたが自分の顔を好きになって、自分を大事にすることができるようになれば、私は合わせ鏡の中から消えてあなたの心の中で綺麗に生きていくことができるからなの。」

希美は言葉を失いつつも、分身の言うことを聞き続ける。
「私は泣いているあなたの心の中が作り上げたものなの。だから自分の顔にコンプレックスを持たないで。自分の心が泣いていることを自覚して。あなたはあなた。心が自分の顔を認めてあげれば、顔もそれにつれて変化して綺麗になっていく。合わせ鏡に映る自分も変われるのよ。どうか自分の顔を好きになって。自分の良さを認めてあげて・・・・。」

分身はそう言うと、ふわぁっと立ち込めた煙の中に、ざあっと轟音を立てて消えていった。希美があっと思ったその瞬間、空間が歪みひっくり返り、希美は渦の中に巻き込まれて気を失ってしまった。

「希美!希美!!大丈夫!?どうしたの、いったい?」
遠くの方で誰かの声が聞こえて、希美はふぅっと目が覚めた。
「ああ、意識が戻ったのね。帰って洗面所を見たら、あなたが倒れていたからびっくりしたのよ!」
それは母の声だった。希美はうっすらと意識が戻る中、まだ何が起こったのか分からず、ぼんやりしていた。

「あれ…?私…いったい??」
希美はまだ横たわったまま、意識が戻りながら今起こっていたことをゆっくりと思い出していた。

私、気を失っていたんだ。どうやら夢?けれど、やけにリアルな夢だった。
「何ともないの?ともかくゆっくり起きて、ちょっと休んでなさい。」
母の声に促され、希美は軽くふらつきながら起き上がり自室に戻った。

・・・・あれから、何事も変化なく、合わせ鏡には変わったことも起きない。けれど、一つ変わったことは希美の心だった。希美は自分が顔にコンプレックスを持っていたことに気付いていった。

自分をいじめ、心が泣いていた希美は、もう合わせ鏡を気にしなくなっていた。だって、合わせ鏡に映る自分は、もう以前の自分とは違って見えるのだから・・・・。





うーん(゜-゜)初めて創作物を書いてみましたが、内容薄い気がしますがどうなんかな~😅企画のテーマに合っているでしょうか❓

山根あきらさん、どうぞよろしくお願いします🙇



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