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「善と悪のパラドックス ーヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史」リチャードランガム著

「善と悪のパラドックス ーヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史」 リチャードランガム(https://amzn.to/402rnM4
読みました。
久しぶりに重厚な本を読んで、すごく脳が活発になったような気がする。

簡単にまとめていきます。

本書は、
人類の進化とそれにより人類がもつ攻撃性がどう変化したかについて考察がされている本です。

印象に残った部分を書いていきます。
まず外せないのが、ベリャーエフの家畜化実験
上手く説明できないので、chatGPT君に聞いてみました。以下がその概要です。

ベリャーエフの家畜化実験は、ソビエト連邦の動物学者であるドミトリー・ベリャーエフが、狐を家畜化する試みを行った実験です。
この実験は1959年に始まり、その後60年以上にわたって続けられています。ベリャーエフは、選択的な繁殖によって、人間に対して友好的である狐を選別し、家畜化を促進しようとしました。
狐は一般的に野生の動物であり、人間に対して攻撃的であることが知られています。しかし、ベリャーエフは、繁殖によって狐の行動や性格を変えることができるという仮説に基づいて、狐を家畜化することを試みました。
彼の実験では、人間に対して攻撃的である狐と、人間に対して友好的である狐を選別し、友好的な狐同士を繁殖させることで、狐の性格を変えようとしました。
結果的に、彼の実験は成功し、家畜化された狐は、野生の狐と比較して、人間に対してより友好的な性格を持つようになりました。また、家畜化された狐の毛皮は、野生の狐の毛皮よりも柔らかく、鮮やかな色を持っていることが分かりました。
この実験は、家畜化の可能性についての理解を深めることに貢献し、人間と動物の関係についての新しい視点を提供しました。

chatGPT

つまり、「人間に対して友好的である」という表現型を選択していくだけで、他の表現型も大きく変化することが狐を使った実験で証明されました。
一つの選択圧によって、歯の形、顔の骨格、唇の色など様々な表現型に影響を及ぼすことを、「べリャーエフの法則」と本書では呼んでいます。

この原因は、著者は発生過程の神経堤細胞の数によるものなのではないかと言っています。神経堤細胞は全身に発現するので、全身の表現型に影響を及ぼす、と考えられています。
ちょっと難しいので、それについてもchatGPT君に聞いてみました。(けど、これはなんか微妙だな。)

家畜化の神経堤細胞仮説は、生物人類学者のリチャード・ランガムが提唱した仮説で、家畜化された動物と野生の動物の間には、神経堤細胞と呼ばれる細胞の数が異なるというものです。神経堤細胞は、神経系の発生過程で形成される細胞で、成体においても一部が保存されます。これらの細胞は、緊急事態が発生した場合に、ストレスホルモンであるアドレナリンを放出し、体を戦闘や逃走に備える役割を担っています。ランガムによると、家畜化された動物は、野生の動物よりも神経堤細胞の数が少ないとされています。これは、家畜化によって人間が動物を選択的に繁殖させた結果、性格がより温和になった動物が選択され、その結果、神経堤細胞が減少したためだと考えられています。また、神経堤細胞が減少することで、家畜化された動物はより穏やかで人懐っこくなり、人間に従順になりやすくなったとされています。この仮説はまだ科学的に確定されたものではなく、議論の余地があるものですが、家畜化という進化現象に対する新たな視点を提供するものとして、注目されています。

そして、現在のホモサピエンス(人類)の特徴を見ていくと、
ホモサピエンスも家畜化されてきているのではないか?というのが大きな問題提起の1つです。
では、一体誰に???
人類自身で人類を家畜化してきたのではないか、と本書では述べています。
それを「ヒトの自己家畜化」と言っています。
では、なぜ自己家畜化が起きたのか?
本書では、処刑仮説や評判仮説などが取り上げられています。

この家畜化の話が本書の前半です。
では、この家畜化によって人類の攻撃性の質にどのような変化が起こったのか。これが本書の後半の話になります。

筆者は攻撃性を「反応的攻撃性」と「能動的攻撃性」の2つに分けています。

反応的攻撃性とは、個人や動物が脅威や攻撃に直面したときに、自己防衛のために反射的に攻撃的な行動を取ることを指します。このような攻撃的な行動は、攻撃的な刺激に対する生得的な反応として進化してきたとされています。反応的攻撃性は、本能的な生存戦略として重要な役割を果たす一方、無制御な形で発現する場合、社会的な問題や暴力事件の原因となることがあります。

能動的攻撃性とは、攻撃的な行動を意図的にとることを指します。つまり、攻撃的な行動を計画的に行い、自己の目的を達成するために使用することができます。能動的攻撃性は、人間の社会的な相互作用において、競争的な状況や紛争解決のために使用されることがあります。例えば、競技スポーツやビジネスでの交渉などが挙げられます。一方で、能動的攻撃性が過剰に発揮されると、暴力行為や攻撃的な言動につながる可能性があるため、社会的に望ましくない場合もあります。

人類は、自己家畜化の過程で
反応的攻撃性を低下させていった一方で、
能動的攻撃性が増加しているのではないか、ということを指摘しています。

それによって、反応的攻撃的な殺人は減っている一方で、
戦争などの能動的攻撃性は残虐になっているという指摘です。

ざっくりとまとめすぎて語弊も多いかとは思います。
めちゃくちゃおもしろい書籍だったので、気になった方はぜひ本書を読んでいただければと思います。(高いよーーーー)


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