2016年11月25日金曜日 初めての作業 東京拘置所

天気は晴れ。AM6:40、部屋の照明が点灯し「起床」と放送が流れる。未決と違い、爽やかな朝の音楽は流れない。懲役の始まりを感じた。

AM6:45が朝の点検なので、焦って着替えてパジャマを綺麗にたたみ、布団をたたんだが意外と時間が余ることに気づき、そんなに焦らなくても大丈夫だと思った。

今日から作業が始まった。民間企業や金融機関の紙袋を作る作業。単に紙を折って袋にしていく作業なのだが、私にとっては非常に難しい作業。

なぜなら私は、生まれながらにして手のひら多汗症で何もしていなくても掌から勝手に汗がしたたり落ちてくる。特に女性と手をつなぐ時や、細かい作業したり、ノートに何かを書いている時など、手汗がひどく女の子からは気持ち悪がられ、ノートはぐしゃぐしゃになる。幼稚園の頃は折り紙がこの手汗のせいで折れなくて、先生に怒られて泣いたこともあった。汗が出ない時もあるのだが、大抵出てきて私を悩ます。手汗最悪。出所したら必ず手術して汗が出ないようにしてやると作業をしながら誓った。

作業をしていると、刑務官に呼ばれた。「分類」というものがあるらしい。

何かよくわからなかったので、とにかくドキドキしながら分類室へ向かった。待合室で待たされて、番号で呼ばれる。部屋に入ると、気の強そうなスーツ姿のショートカットヘアの女性調査官が真ん中に鎮座していた。

色々なことを聞かれた。事件のこと、家族のこと、過去の自分のこと。でもなんだか凄く態度が悪い。仕事だからなめられないようにしているのかもしれないけれど、若干引いた。

元気よく受け答えをしていたら

「声がでかい!TPOをわきまえろ!」

と言われた。いや、声小さかったら小さかったって絶対なんか言うだろと思ったが、何も言い返さなかった。

どこか行きたい刑務所はあるかと聞かれて、民間刑務所の喜連川社会復帰促進センターを希望した。もし入所できなかったらどうしたいとも聞かれたので、島根あさひ社会復帰促進センターと、美祢社会復帰促進センターを希望した。民間の刑務所は22時消灯で、余暇時間が普通の刑務所より長く、色々と勉強したりして、時間を有効活用できるのと、様々な資格が取れることを収監される前にしっかり調べていたからだ。

正直、妻と子供との面会を考えたら喜連川がいいな・・・。

部屋へ戻ると、回覧の新聞が回ってきたので新聞を読む。それからすぐに運動の時間になった。グループ運動と刑務官に言われたので、大人数なのかなと思ったら、私含めて二人だけだった。

運動場は二人で使うには広すぎた。そしてものすごく寒かった。風強すぎだよ。でも久しぶりに人と話せてよかった。運動が終わり、作業。昼ごはん食べて作業。その後風呂があってまた作業。ってか、中断しすぎで作業に全く集中できない。

妻と子供から手紙が届く。どうやら子供がドラえもんの四次元ポケットが欲しいみたいだ。正直、今すぐ私も欲しい。

作業が終わった。慣れないことやってどっと疲れた。夕食を食べてゆっくりする。刑務所への移送までは1ヶ月近くかかりそう。運動の時間に話した人はアカ落ちしてからもう1ヶ月いるらしい・・・。懲役9年って言ってたな。俺より長い。同じ詐欺なのに組織犯罪が罪状に付くと一気に刑が重くなる。きついな・・・。一緒にこれから頑張ろうって思うよ。

全ては順調に進んでいる。人生の成功に向けて。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?