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「結婚おめでとう」のおめでとうについて

最近チビチビと谷川俊太郎さんの「ひとり暮らし」を読んでいる。
作中、〝葬式に出るのはいやではない。結婚式に行くのよりずっといい。〟という言葉が出てきて、共感とともについ思いをめぐらせてしまった。


こんなこと言うと、またヤバい奴だと思われそうだが、「結婚おめでとう」の おめでとう の意味を未だによく理解できていない。
常識のある多くの人が口にする言葉だと思うが、何がおめでたいのか?それが分からない。
馬鹿にしているとか下に見ているとかではなく、本当に素直に分からないのである。


入籍したこと自体におめでたさを感じるのか?
それは紙を1枚出すというだけの事務作業のようなものだけれど、それが一般的にはおめでたいのだろうか。

2人のこれからの輝かしさがおめでたい?
それは結婚してもしなくても、それぞれに相手のことを思いやって尊敬しているのであれば、何にも変えられない尊いことだ。
そもそも、他の人に祝ってもらうようなことでは無いと思う。2人きりで大切にひっそりと喜びを分かち合えば良い。

関係性が法律上、確固たるモノになったことを祝っているのか?
私は実際昨年結婚しているが、それぞれのお金が共同財産になること、浮気したら法律で裁かれることくらいしか変わった気はしないが。
これがおめでたいこととは余り思えない。
むしろ制度でお互いを縛っているようでちょっと座りが悪いくらいだ。


もちろん、結婚を望んだ2人がその希望を叶えて〝結婚〟というものにたどり着いた事に関しては、おめでとう!と感じる。
就職おめでとう!と同じくらいのテンションだ。
けれど、皆が口にする「結婚おめでとう」のおめでとう には、もっと重たい意味があるのかしら?と考えてしまう。
私のテンションでは、何だか軽い気がしてしまう。


こんな風に面倒なことを考えながら「結婚おめでとう!」なんて言ってる人はいないだろうし、この おめでたさ がどこから来るのかまで考えて言葉を口にする人も余りいないからこそ、ここまで皆がみんな口にするのだろうけれど、聞く度に頭にハテナマークが浮かんでしまう。

そして、自分が言わないといけない立場になった時に、言わない訳にもいかないから口にするけれど「何かもっと他に、素敵な言葉があればいいのにな」とも思っている。

使われすぎて擦り切れそうな言葉だけれど、結婚したところでゴールではないのだ。
結婚式の先だって、世界は2人に容赦ない。
一生をかけて隣にいても、2人がひとつになることは無いし(なんかヤバい手術とかしたら分からんけども)、困難なんて大小様々でそこら中に転がっているだろう。

そんな行く先が待っている岐路に立つ2人に、暗い時でも笑って歩けるような、1本のマッチ程度の微かな灯りになるような、そんな素敵な言葉は無いだろうか。

今はまだ思案中だけれど、また芳しい言葉を見つけたらnoteに残しておこうと思う。

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