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不育症の救世主 アスピリン・ヘパリンでも「異常胚の初期流産は防げない」

原因不明の子宮内胎児死亡が続いて、杉ウィメンズクリニック(杉WC)で不育症検査を受けました。陽性項目があり、私は既往歴からアスピリン+ヘパリンが必要と診断されました。

今回は不育症の治療法として知られるアスピリン・ヘパリンについて、私が当初、疑問に思ったことを中心に共有します。

夫婦で杉WCの不育症学級(参加無料)に出席したことがあります。杉先生の著書『不育症学級』に書いていることばかりでしたが、改めて理解が深まった部分もあるので、組み込んで共有します。

① 不育症の治療法

不育症の治療法は、血栓対策として妊娠中の低容量アスピリン療法ヘパリン自己注射が知られています。漢方の柴苓湯(サイレイトウ)も動物実験等で有用性が報告されていますが、いずれの処方もかかっている医療機関の方針次第かと思われます。

② アスピリン・ヘパリン治療 疑問だったこと

私が疑問に思って杉先生に聞いたことを中心に以下、まとめます。個人的に集めた情報ですので、気になる点はお調べいただけたら…ご参考までに。

アスピリン・ヘパリンでも異常胚の流産は防げない

一定の頻度で起こってしまう胎児側の偶発的な染色体異常をアスピリン+ヘパリンで防ぐことができるのか、質問しましたが、「異常胚の初期流産は防げない」とのこと。

アスピリン・ヘパリンに期待できるのは母体側の問題を潰すこと。移植日からアスピリンを服用し、胎嚢確認後にヘパリンを打っていても、加齢によって上がる初期流産の確率は変わらないそうです。悲しい。

アスピリンだけか、ヘパリンも必要か

ヘパリン併用をどのように判断するか杉先生に確認したところ、検査で分かった不育症のリスク因子によって違うし、既往歴も考慮するそうです。人による。私より検査で引っかかった項目が多く、数値が高くても、アスピリンのみという方を何人も知っています。

不育症のリスク因子によっては、ヘパリンを併用しても生児獲得率が上がらないものがあるようです。その場合ヘパリンは過剰治療になるため、基本はアスピリンのみらしい(もちろん既往による)。

アスピリン・ヘパリンは妊娠何週まで必要か?

これも不育症のリスク因子や既往歴によって異なるそうです。私はどちらも妊娠35週までと言われましたが、たとえば胎盤完成までの期間が重要なリスク因子だと早めに終わることもあるみたいだし、人によるそう。当初の見通しより前倒しで終了する場合もあるそうです。

低用量アスピリン療法
・杉WCでの一般的な飲み方は妊娠35週まで
・妊娠36週まで投与することの安全性は、既に国際的に確立している
・日本では妊娠28週以降は禁忌とされているが、28週で終了するという投与方には、根拠がない

出典: 『不育症学級』

アスピリンは体内に1週間残るそうです。不育に理解がない産科だと、28週までという風潮に従って、そこでやめるしかない可能性も。

ヘパリンでもダメだったら

アスピリンのみで死産した場合、次はヘパリンも併用になります。良くも悪くも「結局アスピリンかヘパリンでしょ」っていう説ですが、ヘパリンでもダメだったら、その上があるそうです。
最後の砦はステロイド療法(プレドニン)、さらには大量免疫グロブリン療法(1回150万円)とのこと。

③ 患者にとってはヘパリンの有無が争点か

杉先生が何万人も見てきた経験から「あなたの場合は過去が大事(おおごと)だから」とヘパリンを勧めてもらい、私はアスピリン+ヘパリンになりました。もっと言えば、私の検査結果(大したことない数値・項目数)で仮に子宮内胎児死亡が1回だったら、アスピリンだけだった感触です。

アスピリンは必ず+ヘパリンは夫婦の決断に委ねられる形がよくあるようで、素人がヘパリンの有無を決断するのは難しいし、心苦しいと思います。ヘパリン1日2回の負担をどう捉えるか。力になれなくてもどかしいですが、後悔のない決断ができたらと願うばかり。

アスピリンは飲むだけですが、ヘパリン自己注射を妊娠35週まで1日2回打つ負担は小さくないと思います。体外受精で自己注射に慣れていても1日2回(12時間ごと)を毎日ずっとじゃないし…。何曜日でも絶対に寝坊できない、外出先だろうと必ず打たなきゃいけない、ヘパリン中心の生活。でも、先輩方はこれに耐えて元気な赤ちゃんを産んでいる…頑張らなければ。

以上、読んでくださった方がいらっしゃったら、ありがとうございました。

治療法の基礎的なことも書きました。

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