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Don’t Cryアフロ その②

 「おっ!売れっ子のかわいい子!きたきた!」

わたしを場内指名してくれたのは、歳がわたしと変わらなそうな若い2人組。Bボーイファッションに身を包んだ(当時の)今どきの若者だ。

1人はキャップをかぶってYOU_T○○_ROCK★みたいなラッパー風の男の子、もう1人は……、で、デカイ!!

座っていても高身長だとわかる体格、アスリートかな?口ひげを生やし、アメリカドルの札束モチーフのベルトバックルをつけたアフロの男の子。

アフロ君は今になって思えば、トータルテン○ス藤○さんに似ていたように思う。


「ほら!やっぱ隣で見たらモロかわいいじゃん!絶対この子がここで一番かわいいって思った!」

わたしが席に着くや否や、アフロ君が興奮気味にまくし立てた。多分飲みなれているし、女の子のいる店に行くのも好きそう。

体も大きいし声も大きい。愉快な人なんだろうな、と言った印象だった。


場内指名しようと言ったのはアフロ君だったそうで、わたしを見てはかわいいかわいいと連呼していた。とてもタイプなんだとひたすら口説かれた気がする。

商売柄口説かれるのもお仕事のうち、もちろん珍しいことではないけれど。

アフロ君からはわたしに対する並々ならぬ情熱を感じ取れた。


YOU_T○○_ROCK★君はニコニコ笑いながらツッコミ、アフロ君が場を回すと言った雰囲気であっという間に楽しく時間が過ぎた。2人は名コンビだと思う。

指名が重なり滞在時間もそこそこだったので丁重にお礼を言い、連絡先を交換した。


それからちょこちょこアフロ君から連絡がきた。

彼は実業団バスケットリーグのバスケ選手だった。どおりで大きいわけだ。身長は193cmあるらしい。アフロヘアも相まって、さらに大きさがまして見えた。

実家はわたしが働くキャバクラの近くらしいけれど、普段住んでいるのは隣県ともうひとつ向こうの県の境目。わたしと約250キロ離れていた。

それでも実家に帰ってきたり近くまで来た日には必ずわたしが働く店にわたし指名で飲みに来てくれたので、距離をあまり感じないくらい顔を合わせていたように思う。大柄で豪快な雰囲気とは真逆で、気を遣ってくれてとても優しかった。


しかし、顔に出てしまう性格のわたしはしばらくしてキャバクラのお仕事が辛くなり、キャバクラを辞めてしまった。

辞めてからお客様と連絡を取ることはなかったけど、アフロ君は定期的に連絡をくれたので途切れることはなく、いい友人関係を構築していたと思う。




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