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正社員として

某半導体メーカーに就職したワシ。
メーカーと言っても、半導体メーカーとしては小さなメーカー
初めの半月はオリエンテーションで、同期みんなで研修を受けた。
人数は覚えていないが、集合写真を見ると130人(高・専・大卒)くらい?
研修2日目に人事の方が
『この後、健康保険証を作成して後日お渡ししますが、既に必要な方居ますか?居ないですよね?』
と、言われたが実はワシは既に必要な状況になっていたので、
コッソリ包帯を巻いた手を挙げた。一番前の席で・笑
前晩自炊時に、左手中指を包丁で切って夜間救急に駆け込んだのだ。
この一件で、同期内では有名人となる・汗

実際の現在の指。キズは数十年経っても残っている

とりあえず保険証番号を教えてもらい病院で自費払いを清算した。
学校卒業後に、実家を出て一人暮らしを始めてから数日後の悲劇だった。

研修後、IC設計の部署に配属となった。
50人ほどの部署で、部屋の窓はほぼ塞がれていてちょい息が詰まる場所。
仕事内容から、ある程度の機密性が必要なため仕方無い事だが。
いきなり設計の仕事などは出来ないので、初めは補助業務から。
その間に設計業務の仕事を覚えていく。
一番初めに担当したのは、手書き図面をPCで図面書きする仕事。

イメージ図で実際に行ったものとは違います。

PCで図面を作成したのちにデータで回路図が出来て、それをシミレーションするのである。
回路が正しく機能するかどうか?の確認である。

HSPICEで動作シミレーション

当時のシミレーションでは、結果が出るのに時間がかかった。
日中懸命に図面作成して、夕方くらいまでに仕上げて夜間でシミレーションさせて結果が出るのが翌朝という感じ。
結線が上手くいってなかったりすると、エラー項目が多数
ワシは正直なところ、この仕事があまり好きじゃ無かった。
それでも一生懸命に取り組んだけど・・・・

シミレーション以外にも、模擬回路を組んで動作確認する方法もある。
ブレッドボードというもの

イメージ図
実際はもっと大きい基盤で部品点数が段違いに多かった
こんな形のICパッケージ品を基板に乗せていく
他部品(コンデンサ、抵抗なども)を取り付けていく

ブレッドボード作りは結構楽しかった。
PC画面を見ないで良いというのが、とても楽だった。
図面作成画面が緑色で、1日7~8時間見てると疲労感が半端無いのだ。
それに手で何か組むのは楽しかったという事もあり好きだった。
が、好き=上手という訳では無い。
上手く行かない事が多かった。
それが何回もとなると、だんだんと焦りになっていき、
それがまた失敗を呼ぶという悪循環に陥ったのである。
上手く行った事もあったが、失敗の方が多かったと思う。
ありがたい事に、どれだけ残業しても残業代は支給してくれていた。
毎月3桁の残業で、基本給より残業代が多くなる月の繰り返しとなる。

12月上旬のある日、キーボードを叩いていたら手が冷たくなった。
手が濡れていた。
水で濡れていたのではない。
今まで見た事が無いような鼻血が出ていたのである。

なんじゃこりゃぁ~ とは言いませんでしたが・笑

それを見た瞬間
”もうダメかも・・・”
と思ったワシ。
自分なりには一生懸命取り組んでいたのだが、結果が付いてこない日々。
約8か月という時間、身体も精神的にもボロボロになっていたのです。
翌日に設計部署の責任者に呼ばれて話をすることになった。
ワシは、これ以上迷惑をかける事が出来ないので退職するつもりだった。
当時付き合っていた現在の妻からも、身体優先で退職を勧められた。

翌日、話し合いの席に人事の方も同席していた。
そこで言われたのが
『別の部署で活躍してみないですか?』
というものだった。
ワシは、退職の話を切り出そうとしていたら
『まずは、話を聞いてください』
と、ワシが話そうとするのを遮るかのように人事異動の話が出てきた。
人事部や上司がワシを気遣ってくれての事だった。
とてもありがたい話でした。
結局、退職という言葉を発する事なく、異動の話をありがたく頂く事に。
その後病院に行き、精密検査を受けた。
睡眠時間が短い日々が続いたせいか、一部数値が異常値であったが、
仕事をするには問題無いという医者の判断。
1週間ほど静養した後、新しい部署へ配属される事となった。

設計の仕事では、残念ながら結果は出せなかった。
残ったのは、8カ月で溜まった約200万の貯金。
引き換えに体調を崩したけど・・・・
そんな忙しい日々を送っていたので、麻雀をする暇など無かった。
というか、あまり遊んだ記憶が無い。
週末に妻と逢ってはいたが、いつも疲れ切っていた。
そんな生活がとりあえず終わった。
そして、新しい部署での生活が始まろうとしていたが、
そこは、ワシにとって忘れられない場所になる事を、
当時のワシは、思いも寄らなかったのである。

ぷくぷく


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