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やっぱり、信頼しているマエストロの指揮が最高!! と、確信した話 その1

先週の土曜日、久しぶりに、最愛のマエストロ・山下一史さん指揮する、千葉交響楽団の定期演奏会に行ってきました。

両者のコンビでの演奏は、6月26日以来です。山下さんは、今年度から、大阪交響楽団と、愛知室内オーケストラのシェフになられて、飛び回っていらっしゃいます。しかも、教鞭をとっていらっしゃる、東京藝大の卒業生で構成しているプロオーケストラ・芸大フィルハーモニー管弦楽団のシェフにもなられたようで、文字通り獅子奮迅のご活躍ぶり。

こうなると、どうしても千葉響とのコンビは、激減するようです。何しろ、千葉響のコンサートそのものが、かなり少ないんですよね。3年前までは、少しずつちょっと辺境(?)な地域への出動も増えてきていたのですが、コロナ騒動で、それも足踏み状態の模様。大阪や名古屋のような文化的に勢いがある地域での活動が、どうしても増えるようです。

また、8月は完全休養に充てられたようですから、夏休みのファミリーコンサートには、別の方がご出演でした。そうなると、私が行かないので、どうしても間が空いてしまったのです。

そういうわけですから、4か月近く、すっかりスライム状態だった私、この演奏会を心底、待っていました。その前に、マエストロ・井上道義に刺激はいただいていたのですが、やはり、何かが違うんですよね。

さて。予報は当初、「晴れ」だったのに、いつの間にか変わっていて、厚い雲が空を覆っています。それでも、蒸し暑さはかなりのものだったので、会場に着くころには、大汗をかいていました。

ただ、会場がある千葉市では、終わったと思っていた金木犀が、咲き誇っていました。どうやら、二番花だったようです。大好きな香りを思いっきり吸い込みながら笑顔で歩いていると、コンサートの成功の予感がしました。ふと空を見上げると、雲が切れて青空まで覗いています。
「これは、幸先良いわ♬」
そんなことをつぶやきながら、道中を楽しみました。

今回は、千葉響のトロンボーン奏者・箱山芳樹さんがソリストを務められる、トロンボーン協奏曲「オリオン・マシーン」と、ブラームスの交響曲第3番というプログラムでした。

箱山さんがソリストのこの作品は、吉松隆さんという方の作品なんですけれど、これは、吉松さんが箱山さんのために書き下ろした作品なのだそうです。かつて、箱山さんが日本フィルに在籍されていたころ、自分が好きな作曲家に作品を書いてもらえるという企画があったそうで、その時から、箱山さんの大切な作品になったそうです。
初演が1993年。何度も再演されているようですが、今回、箱山さんが千葉響に入団されたご縁あって、初演から29年経て、千葉での初めての演奏ということになりました。

開演前の舞台には、ハープやピアノ、ヴィブラフォンに様々な打楽器が並んでいます。いずれも、独奏楽器としてオーケストラと共演することがあるのですが、それらが揃うのは珍しいこと。にぎやかな舞台を眺めながら、どういうことになるのか、ワクワクしたものです。

開演は午後2時。山下さんのタクトで、演奏が始まりました。やがて、箱山さんのトロンボーンの音色が響きました。その最初の一音を聴いたとき、私の心身を何かが走り抜けました。
深いんです。箱山さんの奏でる、トロンボーンの音色が、とても深いんです。彼の演奏が始まって、私は舞台が、夜空に変わったように感じました。その深さは、3月に松戸で聴いた、舘野泉さんのピアノを思い出させました。聴く者の魂に響く音を持っている。本物だなぁ、と、うなりました。

そうして、オーケストラや、舞台に居並ぶ独奏楽器たちが、素晴らしい呼吸で、夜空を広大な宇宙空間に変えていきました。ヴィブラフォンやハープなどのキラキラした響きは、まさに銀河を連想させます。私は、天体などには全然詳しくはないのですが、にぎやかだったり、エネルギッシュだったりする様々な演奏は、私に天の川だったり、あの銀河鉄道だったりをイメージさせたのです。

作品には、ジャズの雰囲気も盛り込まれていて、理屈抜きに楽しめる世界になっていました。山下さんをはじめとして、オーケストラも楽しんでいる様子もあり、それは、そのまま客席にも伝わってきます。”クラシック音楽”という言葉がもつ、堅苦しいイメージを笑い飛ばすようなエネルギーに満ちた作品だと、私は聴きました。

吉松隆さんの作品は、以前にも山下さんの指揮で、聴いたことがあります。「鳥たちのシンフォニア」という作品です。かつて、山下さんが仙台ジュニアオーケストラのシェフをなさっていたころに、アニバーサリーイヤーがあり、定期演奏会で演奏する記念の新曲を、吉松さんに委嘱なさったのだそうです。初演は、もちろん山下さんが指揮されたそうです。
すべて伝聞形の物言いですが、それもそのはず、私が聴いたときは、東京の新交響楽団というアマチュアのオーケストラとの共演であり、今申し上げて来たことは、プログラムに記されていたことだったのですね(私は、そこで初めて知ったのです)。
その時のコンサートでは、この作品の演奏が一番良かったので、余計鮮明に覚えています。

私は、基本的に現代作家の作品は、どうも苦手ですが、吉松隆作品だけは、好きになれます。鳥をモティーフにした作品も多いようです。山下さんの指揮だから? まぁ、それはあるかもしれませんが(≧◇≦)

この日は、作曲された吉松隆さんも会場に来ておられました。新交響楽団との時もおられたので、おそらく、ご健在の作曲家の作品を演奏する時は、ご本人に立ち会っていただくのが慣例のようですね。演奏が終わった後、客席から舞台に上がられて、指揮の山下さん、そしてソリストの箱山さんとがっちり握手なさっておられました。どなたも満足そうに見えました。客席からの大きな拍手、また、度重なるカーテンコール。居合わせた私も、幸せになれた時間でした。


後半のブラームスは、次回に。長くなりすぎましたから。

どうも秋晴れが続きませんね。明日は、寒いとか。皆様、くれぐれもご自愛くださいませ💕


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