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3年ぶりの「第九」、聴いてきました♬

18日の日曜日の午後、3年ぶりに、ベートーヴェンの「第九」の演奏会に行ってきました。

私にとっては、大きなエネルギーをもらえる、大好きな「第九」ですが、3年ぶりなのには、もちろん理由があります。最愛のマエストロの指揮の「第九」が、3年ぶりだったからなんです。

山下一史さんは、もちろん、この間にも(567騒動での中止期間を除けば)、このベートーヴェンのシンフォニーを指揮してらっしゃいました。けれど、それは、あまりに遠方だったりして、さすがに私もいけなかったのです。

これまでにいろいろな方の指揮での「第九」を、聴いています。けれど、山下さん以外の指揮では、どうにも満足しきれないんですね。一度だけ、山田和樹さんという若手のホープの指揮で聴いて、感動したことがありますが、これは、オーケストラの半分が、最愛の仙台フィルハーモニー管弦楽団だったところに負う部分が大きいです。山田和樹さんの指揮も、好きではあるんですが、ね。

人にこだわる私ですから、もはや、山下さんの指揮でないと、心身が受け付けなくなっているところ、あるのかもしれません。

さて。今回の会場は、千葉県の津田沼にある、習志野文化ホール。実は、このホール、来年3月で、長期閉館になることが決まっています。一応建て直しということになっているようですが、再開がいつ頃になるのか、はっきりとしていないようです。
現存のホールでの「第九」は今回が最後、ということで、山下さんも千葉交響楽団の方々も、並々ならぬ気合の入りようです。
なんたって、コンサートの2日前、仙台で仙台フィルとのコンサートでソリストを務められた 、神谷未穂さんが、コンサートマスターです。
開演して、オーケストラが入場した後、ご登場の神谷さんを観たときは、腰を抜かさんばかりでしたよ。スケジュール的に観たって、無理ですしね(リハーサルが充分にできないはずですし。なんとか調整したのでしょうけれど)。
どういうやり取りがあったのかはわかりませんけれど、全幅の信頼を置くコンサートマスターを据えることで、山下さんは万全の体制を取られたのでしょう。

そうした意気込みが、十全に生きているコンサートでした。

「第九」のオープニングは、弦楽器の水平線をイメージさせる、低音の響きから始まります。私は、そこから、いつも一本の鋼の線が伸びてゆく様をイメージします。何かをじわーーーっと切り裂いてゆく強い音の線です。

今回もそうしたイメージを抱きながら聴いていましたが、ふとそれだけではない、重い圧力が線の上にのしかかっているように感じられたのです。やがて、ティンパニの激しい鼓動とともに、状況は動いてゆきますが、その様は、低空飛行を強いられつつ、なんとかこの状況から抜け出そうとしている飛行機を思わせました。そこに、この3年、様々な可能性を手探りしながら、演奏活動をしようと模索する音楽家たちの姿をも、私は重ねていました。

ベートーヴェンは、独特の執拗さを持っています。有名な作品のほとんどで、「これでもか!」と言わんばかりの繰り返しが多用されているんですね。好みにもよりますが、名演であれば、この執拗さがだんだん快感になってきます。
コンサートは、CDと違って、その時で終わってしまって、再現できません。なので、ぼんやり聴いていると、大事なところを聞き逃すことも私などは多いのですが、ベートーヴェンの場合は、「これを、心と耳に刻み付けるのだ!!」とばかりに何度も使っているので、どうしてもしみ込んでくるんですよね。繰り返される音の波を受け止めるのが、面白くなってきます。それに、オーケストラの熱量も、だんだん上がってきますしね。

山下さんと千葉響は、丁寧に第1楽章の重苦しさを、表現していました。楽章の完成度も高かったので、ここで1曲聴いた気分にすらなったものです。

ここを成功させれば、この後の演奏の成功はほぼ間違いありません。少しずつ軽やかさを帯びてくる第2楽章、柔らかさを湛えた第3楽章、いずれも、見事にまとめ上げていました。

そうして、「第九」と聴けば、誰もが思い浮かべるであろう「歓喜の歌」と呼ばれる合唱の入る、最終楽章です。第3楽章までにも、山下さんの指揮は、何時にもましてキレキレで、すごみを増していたのですが、ここでさらにギアを上げたのですね。

指揮台を踏み鳴らす音は、激しさを増しますし、時折見える横顔は、鬼のような形相です。こういう場合、指揮者もやはり歌っているのですけれど、「歓喜の歌」を口ずさんでいるらしいその口元は、オーケストラや合唱団を鼓舞しているかのようです。
「第九」は、この1曲だけでコンサートが成立するほどの大曲ですが、この日は前半に「合唱幻想曲」という作品の演奏もありました。オーケストラも合唱団も、相当お疲れでしょうし、もちろん、すべてを統括する指揮者の疲労は、想像を絶するものがあることでしょう。
けれど、そんな風情はみじんも見せずに、むしろ、さらにヴォルテージを上げてゆく様に、私は改めて、感謝とともに、畏敬の念を抱いたものでした。

オーケストラの音と合唱団の歌が、激流のようなうねりを上げて、渦になって、客席を飲み込んで、花火のように爆発して(と、感じられた私です)、フィナーレ。「ブラヴォーーーー!!!」の声とともに、割れんばかりの拍手が沸き起こったのは、当然でしたでしょう。私自身、心身が熱くなって、汗までかいていました。目頭が熱くなって、眼鏡が曇るのには困りましたけれどね。

今も、頭の中には、あの時の「第九」の演奏の一部が、流れています。そのたびに、自然と内部から元気が出てくるのを感じるのです。

名演を聴けて、本当に幸せでした💕土曜・日曜と続けて家を空けたので、相方は渋い顔でしたが、行って本当に良かったです。

このコンサートが今年の聴き納め、だと、なかなかかっこよいのですが、実は今週もう一つ、聴きに行きます。これが2022年のコンサート納めになります。もちろん、最愛のマエストロの指揮だからなんですけれどね(≧◇≦)いずれ、御報告する予定です。

土曜日のことから書き始めるつもりでしたが、どうにも「第九」の興奮が鎮まらないので、先に書いておくことにしました。土曜日のことは、近日中にまとめるつもりです。


12月に入って、本当に厳しい寒さが続いていますね。日本海側の北陸や新潟など、大雪でとんでもないことになっているようです。少し緩むらしいのですが、今度の週末にはクリスマス寒波が来るとか・・・・・。マジか(T_T)/~~~
寒さは、心身を凍らせます。皆様くれぐれもご自愛くださいませm(__)m💕💛


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