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【アパレル】‟女性が働きやすい制度”に付きまとう歪みをどう解消するか

アパレルのショップといえば、店頭で働く販売員の8割くらいは女性です。基本給は低いながらも、各社ここ十数年ほどで女性が働きやすい制度が整えられました。当時からすでに働く女性だった人たちの努力と、男性の理解、社会の理解や時代背景も手伝って、企業イメージ向上ためにも実現が進んだものと思われます。

「女性」って誰のこと?女性が働きやすいのではなく、既婚女性・母親が働きやすい制度が整備されただけでは

この見出しを読んだ瞬間に、ピリッとした人もいるかもしれません。すごくデリケートな問題に触れようとしていることはわかっています。

世に言うフェミニストはもちろん、制度の整備に尽力された方や、整備された制度を利用している既婚女性やお母さんたちには、不快感を与えてしまうかもしれません。

それでも、私はあえてこの問題が顕著なアパレル業界から提議したいのです。
まだ結婚も出産もしていない「働く女性」たちの、いまとこれからのために。

制度を利用していない女性たちの環境はいつ整えられるのか

整備が進んできた「家庭のある女性が働きやすい制度」は、もちろん方向性として必要だと思っています。

女性の就業率が上昇し、管理職に就く女性も増え、雇用の男女平等が進む一方で男性の給与が上がりにくくなっているのも事実です。背に腹は代えられない次元の問題で、結婚、出産、育児や生活にかかる費用を男性ひとりの収入だけで賄うには苦しいケースも多いでしょう。また、生活レベル云々とは別のところで、家庭にこもることで社会から取り残されるような不安を抱き、自分のキャリアや価値を見失いたくないと考える女性も増えています。

過去のキャリアを失わないためには、寿退社はせず、産休育休を取り、その休み明けにキャリアを踏まえた給与を時給換算(高時給設定)して短時間シフトで職場復帰、会社に評価されながら家庭と仕事を両立するという流れが理想なのではないでしょうか。

ですが

時短勤務のスタッフの人時計算は、フルタイムを1.0としたとき 0.5~0.7くらいで、ショップの人員はこういう人時計算で生産性のバランスを見て決められています。同じ0.5(月80時間前後勤務の設定)でも、育児中の女性スタッフは早番寄りの固定シフトで早上がり土日休みが常です。普通のアルバイトの0.5とはワケが違います。

ここからの文章は、どうか感情論一切抜きで店舗運営に影響する事実だけを読みとっていただけると大変ありがたいです。

定休日なしの運営形態、シフト制という勤務形態など、アパレル小売り独特の状況も踏まえて想像していただきたいです。

「保育園が休みの土日祝日は休み」「子どもがいるので研修のために家を早くは出られませんから研修はいけません」「お迎えがあるので残業はできません」「今朝子どもが熱を出したので行かれません、誰か代わりに早番出勤してください」「年末年始は夫の実家に孫の顔を見せに帰るので休みます」

忙しい時間帯や曜日、時期には出勤できず、時短なのでパフォーマンスは限られる。こどもの体調次第で急なシフト調整を要する頻度が高い。過去のキャリアはあっても現在の研修等には不参加が多くて会社やブランドの動きに足並み揃えてついてこられない。

そのフォローに奔走するのはいつも周りの「女性」スタッフです。換算すれば給与は「女性」のほうが低い。貢献度の費用対効果として不公平ではありませんか?それとも、そのうち自分もそうなるのだからと、飲み込むしかないのでしょうか?何か別の方法はないのでしょうか。

つくられたのは机上の制度だけで、持続可能な環境はまだつくられていない

人として、親として、こどもを優先するのは当然のことで人道的です。

でもその行動によってしわ寄せができて、負担を被る羽目になっている人たちが、そのような状況を見て将来をどう考えるでしょうか?

勤め人としての自身の社会的価値を保とうとすると、周囲に同じ思いをさせてしまうのは目に見えています。

それはしたくないと思ったら、どうしますか?
私は、そういう環境から抜け出したいと考えると思います。

一番手っ取り早いのは、転職です。

自分の理想や権利を通そうとして人に負担をかけるなら、別の道を行くと思います。過去のキャリアだけで現在について行けない仕事をするのもイヤだし。社員の代わりはいるけど、母親の代わりはいないし。

次に簡単な方法は、子どもをつくらないことです。

でも、そんな消去法もおかしいと思うんです。

環境を整えないと本当の前進にはならないのに、喉元過ぎればと思って飲み込んでる人が多いと思います。たしかに10年20年前に比べたら制度は改善されたと思うけど、比較して改善していたら、十分でなくてもそれでいいのでしょうか?

環境を変えて、それが持続可能でないと、解決できないことではありませんか?現行制度の利用や会社のイメージUP戦略によって発生する歪みは、女性たちの中で解消されてはおりません。

実際、制度を利用して両立していたけれどお店のメンバーにかけている負担を気にして悩んで結局退職したママさんたちを何人も知っています。

結局辞めてるじゃん。

辞めた人や辞めたことは指していません。悩んで葛藤してつらかったと思います。言いたいのは、そんな制度でOKなの?ということです。同い年だけど私がとても尊敬していて、ずっと一緒に働きたい、どんな仕事をしていくのか見ていたいと思っていた人だって、育休明け10か月で退職されました。ものすごく残念でした。

職場で忖度し合ったり、たまたま実家が近いから子どもを見てもらえるとか、配偶者の会社が男性の育児参加に明るいからとか、そんなマグレがコンボしないと目的達成できないような机上の制度の整備だけでいいのでしょうか。

現場にいない人たちは、制度を設けてこれでよしと思っているかもしれないけれど、現状まだまだです。

問題提議は以上です。
今回は多くの人に読んでもらいたいので無料にしました。価値があったと思う方、もう一歩踏み込んだ提議を最後に有料で入れましたのでそれも見たい方は以下ご購入くださるとうれしいです。ありがとうございました。

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