【アパレル】ご注文のお品物が届いたら、遅滞なく開封して中身を確認してほしい、その理由と事情

こんにちは。

私がアパレル業界に出戻って早くも2ヶ月が経ちました。先日はブランドの展示会もあり、日々忙しくしながら感覚を取り戻している最中です。

その感覚を取り戻す日々の中で、「そういえばコレあんまり世間に知られていないんだよな…」と思うことがあります。その一つが、受注会やECで購入した商品が届いたら、早く開けてみたほうがよいということ。今日はその理由と業界事情について書いていきます。

中身に問題がないかどうか確認することが大切です

受け取った荷物の中身が分かっていると、すぐには開封しない方もいらっしゃると思います。ダンボールからは出しても、ビニール(ガーメント)から出して広げて見る・着てみるまではしない方が多いのではないでしょうか。特に最近、展示会でオーダーした秋冬物が届いた方。暑くてまだ触りたくない…というお気持ちも分かります。

しかしそれだと、注文したものと届いたものが同じかどうかの確認まではできても、品物の状態に問題がないかどうかは分かりません。
「そんなの、ブランド側が検品して送ってくれているでしょう?」と思いますよね。それはそうなのですが、それでもチェックに漏れるものが実際にあります。しかも、ブランドの規模や体制にもよりますが、ブランドの中の人が検品しているかというとそうでもないのです。

ブランドの中の人が全ての商品をくまなく検品しているわけではありません

実物を見ながら服屋さんでお買物をする場合は目の前に商品があって状態の確認ができるので、持ち帰ったあとに異常に気づくというケースは少ないと思います。

では通販や展示会オーダーの場合はどうかというと、ブランドによりますが、出荷時に改めて袋から全部出して状態確認をしているところはそんなに多くありません。聞いて回れることでもないので統計はありませんが、「全部、ブランドの中の人が検品してから出荷」がデフォルトではないことが伝わるだけでも今読んでいただいている意味があると思います。

なぜ出荷時に改めて総点検をしないのか?

例えばTシャツの生産工程からお客様の手元に届くまでの流れを書くと、ざっくりと次の通りです。数十から数百、数千の量産をイメージしてください。

  1. 縫製工場で縫い終わる

  2. 仕上げ屋さんで仕上げてもらう(アイロンを当て、下げ札をつけ、ひとつずつ畳んで袋に入れる)

  3. ブランド指定の倉庫に納品される

  4. ブランドから倉庫に、お客様宛の出荷指示が出る

  5. 倉庫の担当者が出荷指示に合わせて商品をピックして箱詰めし、指示された場所に送る

  6. お客様の手元に届く

工場から仕上げ屋さんに行く前に数点ピックアップしてブランドに送ってもらい、仕様の通りに仕上がっているかを検寸・検品する過程はありますが、量産した全量に対しては実施されません。

縫製工場でちゃんと縫ってくれているはず、仕上げ屋さんでプレス時に異変に気が付けば工場もしくはブランドに報告して対応ができているはず、という期待のもと倉庫に納品されます。しかし、ここをすり抜けてしまうB品(不良品)がある、というのが現実です。

出荷前の対策は

こうした現実をふまえて、倉庫からの出荷時(お客様への発送時)に検品作業を入れることがありますが、倉庫が委託の場合は特に、アパレルに詳しい人が担当しているとは限りませんし、B品かどうかの判断基準が多少ブレたり、目の付け所が違ったりする個人差が避けきれないという事情が付いて回ります。たとえ明らかなシミや汚れでも、光の加減でそれと気づけないことも時にはあるのです。さらに、着てみて気づくような不良については、お客様がご購入済みのものを他人が出荷前に着てみるというのも変なので、基本的には外観の検品にとどまります。

もし、届いたものがB品だったときは

注文した商品が届いて開けてみたらシミがあった・縫われていない箇所があった・変なところが縫われている・なんかズレてる…等々、お気づきのことがあればブランドへご連絡されることをお勧めします。
在庫があれば交換してくれるはずですし、在庫がなければ修正してA品(良品)の状態で戻してくれたり、何らかの対応が相談できるはずです。その対応も、ご連絡が遅くなればなるほど、在庫がなくなったり、届いた時からのシミだという主張が通りにくくなったりしますから、ご連絡が早いに越したことはありません。

前述の流れの通り、ブランドが意図的にB品を発送することはありませんので、間違っても雑に扱われたなどと思わずに、そして、もういいやと諦めずにブランド側へお知らせいただくのがよいかと思います。

中にはクレーマーになりたくない、という方もいらっしゃると思いますが、正常なものに文句をつけて無理を言うのと、異常なものを申し出て相談するのは全く別物です。もやもやしたまま我慢をするより、伝えてみる方がよいのではないでしょうか。

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