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【有吉弘行の冠番組を語るシリーズ#2】櫻井・有吉THE夜会

有吉弘行の冠番組を語るシリーズの第2弾。

このシリーズでは、史上初めてNHK・民放キー局すべてでゴールデン・プライムタイムに冠番組を持った有吉さんの偉業を祝し、それぞれの見どころや番組ごとに異なる有吉さんのスタンスを個人的な視点で語るもの。

第1弾は『有吉の壁』について取り上げました。

今回の第2弾では、TBS系列で毎週木曜22時にオンエアされている『櫻井・有吉THE夜会』をピックアップ。

有吉さんと櫻井くんのW冠番組


『櫻井・有吉THE夜会』は、櫻井翔と有吉弘行の2人がMCを務めるトークバラエティで、その歴史は2014年からスタートしている。

厳密には基になった前番組もあるが、2人の冠レギュラー番組『櫻井有吉のアブナイ夜会』(2016年までの番組タイトル)になったのはこの頃から。

当初は基本的にゲストを1人ないし複数人招き、事前撮影されたプライベートな姿を有吉さんと櫻井くんがそのゲストと一緒に観ながらスタジオトークをするスタイル。
準会員と呼ばれるパネラーには芸人や女性タレント、後輩ジャニーズが配置され、主にゲストの素顔や普段の実態に迫る内容だった。


現在はスタジオを飛び出して「夜会ハウス」と名付けられた一軒家に集まる形を取っている。
あらゆる角度からの定点カメラが設置されてるのみで、収録のメインスペースとなるリビングにはスタッフも不在。

完全に芸能人のみの空間なのが特徴で、訪れたゲストたちは口々に「ちゃんとした家だ」「本当にスタッフさんいないんですね」とリアクションする。

主にゲストがやりたいことや知ってほしいことを持ち寄り、趣味やマイブームを語る。
最近はグルメ系の持ち込み企画が多く、スイーツやレトルトカレーなど各々プレゼンして実食もし、ナンバーワンを決めるといった流れが増えた。家だけあってキッチンも当然完備され、ゲストが調理をするシーンも珍しくない。

スタッフや大きなカメラもないプライベートに近い空間もあってかリラックスした雰囲気になることも夜会ハウスならでは。ザ・芸能人の意外な素顔を拝める機会も多い。

有吉さんの番組では最もゲストが豪華


ザ・芸能人といったのはゲストの傾向にある。

有吉さんも各番組であらゆるゲストを迎える立場だが、この夜会が一番幅広いジャンルから迎えていると思う。大物ゲストの出演も目立ち、MCクラスの芸人から主演級の役者、トップアスリートからミュージシャンまで多岐に渡る。

この点は他の有吉さんの冠番組と差別化できる特徴といえるかもしれない。主演作を控える人気女優や金メダリストなど、旬の人気者と有吉さんの絡みが楽しめる貴重な番組となっている。

そんな人気者たちから「街で見かけました」と有吉さんの目撃報告がされるのも恒例。過去には石田ゆり子、阿部サダヲ、伊藤英明などから報告が上がった。

「目撃談は多いよね。なぜなら1日に10キロは歩いてるから。ハクビシンぐらい目撃談がある」と有吉はん本人も語っている。

夜会での有吉さんのスタンスとは


一流の人気ゲストが多いだけあり、この番組での有吉さんは比較的穏やかで、丁寧な立ち振る舞いをしている印象。鋭い指摘をぶっこむこともあるが、全体的にはソフトに抑えている。またゲストのキャラによっても変えている。

例えば金メダリストやトップアスリートが来たときはかなりリスペクトを持って接しているのが分かる。アーティストなんかにも丁寧(岡崎体育とかはいじり倒してたけど彼のキャラクターを踏まえてだろう)。

楽しそうにイジられる岡崎体育


役者は芸能界のなかでもまだ芸人と近い距離感にあるとして、アスリートやアーティストはまた少しポジションが異なるゆえの距離感かもしれない。

有吉さんも俳優にはキャリア関係なく強めのツッコミを入れることもある反面、女優全般にはわりと甘め。ここ最近でも永野芽郁や有村架純がドラマの番宣で訪れていたが、彼女たちのような人気や品性を備えた清純派女優には特に受容の姿勢を守っていて優しい。

櫻井翔というバランス感覚抜群の相棒


夜会を語る上で欠かせないのが櫻井くんの存在だ。

タイトルの通り、櫻井くんにとっても夜会は冠番組である。この櫻井くんと有吉さんの関係性、やりとりも見どころのひとつで、番組のカラーにも反映されている。

前述した一流ゲストを招くことができるのは間違いなく櫻井翔という日本を代表するトップアイドルがMCにいることも大きいはずだ。

櫻井くんのおかげで確実に番組の格が1つ上がっているし、華も添えられている。この2人が揃っているならと、出演を許諾したり熱望したりする人も多いと思う。

感心すべきは番組がスタートした2014年からこれまで、有吉さん・櫻井くん2人とも着実にキャリアを維持、なんならさらに高めているところ。

なんせ有吉さん櫻井くんのどちらか一方が問題を起こしたり人気を落としたりしたらパワーバランスが悪くなるし、番組のブランドも下がってしまう。厳密なフィールドは違えど、2人して超一流クラスに留まっているからこそ成立している番組なのだ。

有吉さんはあれだけの冠番組を抱えながら体調不良的なことを含め、穴を開けることはまずない。ここ2〜3年は数多の芸人が濃厚接触や陽性で出演辞退を余儀なくされる事態が目立ったなか、少なくとも現時点ではテレビで有吉さんが穴を開けたのを見たことがない。

つい最近、太田プロの後輩芸人、マシンガンズの西堀さんは有吉さんのことを以下のように語っていた。

西堀「あの人は他人にきびしいけど、自分にもきびしいんだよね。たとえば、前はけっこう飲みに行ってたのに、コロナ禍になってから本当に行かなくなった。責任もある立場だし、徹底してますよね」
クイックジャパン・ウェブより

どんな理由であれテレビに急きょ出られない事態になったらその影響は計り知れない。そんなことは有吉さん自身が一番わかってるだろうけど、脳裏にはマツコさんや櫻井くんの存在もあるはず。

共に冠を背負う相棒の存在は心強い反面、特に迷惑をかけられないという想いはあるだろうし、それは相棒に劣らない格を維持することも含まれると思う。

少々話が脱線したが、番組を成立させるにあたり櫻井くんの存在は大きい。

ゲストに話を振るのも、"進行に見せない進行"で収録を円滑に進める役割も、基本的に櫻井くんが担っているからだ。

有吉さんがゲストに対してキツい物言いをしたらソフトにフォローすることもあれば、逆にゲストの代わりに有吉さんにツッコむこともある。時には一緒に乗っかってその場のノリを盛り上げることもあり、まるでテニスや卓球のダブルスのような連帯感がある。

櫻井翔が引き出す有吉弘行


加えて個人的に櫻井くんのことを「ありがたいな」と感じるのは、有吉さんに何気ない質問をしてくれることだ。

ゲストの話題から派生して「有吉さんはどうなんですか?」と必ず水を向けてくれる。

有吉さんはあまり自分から自分の話をするタイプではないため、この櫻井くんのナチュラルな振り方はファンとしては嬉しい。
振られた有吉さんも有吉さんで「俺のことはいいのよ」といった具合にはぐらかすか、手短にまとめてすぐゲストに話題を返すのも素敵だ。

とはいえ意外と貴重なプライベートや近況が引き出されることがあるので、夜会における櫻井くんからのパスはありがたい。他の番組で他の人が有吉さんに質問するのとは意味合いが違う。

2人の絆を感じた場面


櫻井くんと有吉さんの絆を感じた場面で思い出されるのは、木村拓哉がゲスト出演した際。

この回ではもう1人のゲスト・長澤まさみも交えてみんなでゲームをすることになり、ビリとなった人には罰ゲームが課せられた。それは本気の生歌を披露するというもので、しかもスマホで動画撮影までされるという辱め。

ここでビリになったのが有吉さんだった。

MCクラスの有吉さんは普段罰ゲームを強いる側が多いし、キャラクター的にもイジる側。立場的にも辛酸を舐めるようなシチュエーションは滅多に見られない。本人的にも相当イヤだったと思うが、キムタクからのプレッシャーとゲームのルールに従って罰ゲームを飲んだ。

披露したのは猿岩石の『白い雲のように』。

有吉さんがさすがだったのは下手に躊躇せずに腹を決めて即座に歌い出したところ。
尚且つ、ちゃんと本気モードの歌唱だった。そこを撮影までされるのは複雑なメンタルだったと想像に難くないが、そんな有吉さんを助けたのが櫻井くんだった。

おそらく櫻井くんも有吉さんの心境を察したんだろう。有吉さんだけに恥をかかせるのも違うし、バラエティとしてもっと見栄えをよくしようとも考えたのかもしれない。

まるで最初からそうするつもりだったかのように、あまりにもスムーズに有吉さんの歌にユニゾンで加わったのだ。

さすが嵐は伊達じゃない。罰ゲームは一瞬にしてエンタメになった。MC2人による貴重な『白い雲のように』も爆誕した。見ていて優しい人だなぁと思った。

この番組のオンエア後、有吉さんはTwitterで櫻井くんへの感謝を呟いている。

あの状況で入ってくれる櫻井君すごいよ。
あの人はやっぱりおじさん芸人レベルだ!
(2021.9.16の有吉さんのTwitterより)

有吉さんが告知以外で自分の番組についてオンエア後に触れることなんてほぼない。激レアだろう。
それほど有吉さんにとって櫻井くんのフォローには救われたんだと思う。芸人でない人に「芸人レベルだ!」と言うのは有吉さんからしたら最大級の賛辞だろうし。

ちなみに櫻井くんは今年5月の有吉さんの誕生日企画では『白い雲のように』を作詞作曲した藤井フミヤ兄弟を招くサプライズを企画。藤井フミヤの生歌唱に有吉さんが滅多に見せない感慨深い表情を浮かべたのが印象的だった。


同時にそれを一歩後ろから見守り、自分のことのように嬉しそうな櫻井くんの表情もたまらなかった。


そんなわけで、有吉さんと櫻井くんの絆は深い。

プライベートで交流があるといった分かりやすいものではなくても、見てとれる以上に太くて強い関係性だろう。

つい先日のオンエアでは2人が2年前にLINE交換をしたことが明かされていた。普段は特段連絡を取り合わないが何かあったときにと。

有吉さんは芸能人と連絡先を交換したのは櫻井くんが最後だと語った。あれだけ警戒心や猜疑心の強い有吉さんが芸人でもない人と連絡先交換をするなんて、本当に信頼関係が出来ているからこそ。


もうすでに10年近くも一緒に番組をやっているのは信じられない。『ぴったんこカンカン』が終了した昨今、TBSにおいても貴重な豪華ゲスト登場の番宣番組。

櫻井翔と有吉弘行。
2人がどこまで夜会を開き続け、どこまで信頼関係を深めていくのか目が離せない。

願わくば行けるところまで行ってほしい。
見えない未来を夢みて。

互いにちょうどいい距離感を把握してる感じが素敵



お読みいただきありがとうございました。
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第3弾も近日中に。

サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います