フェイフェイが教えてくれない香港本:その6・香港 中国と向き合う自由都市

タイトル通り『自由』をテーマに中国と香港の関係について書かれた本。
全5章構成で1~3章は日本人の著者が香港の政治を分析、4~5章は香港人の著者が日本語で香港の実情を語るという構成。
1~3章もフムフムと読み進めたが、やはり4章から香港地元の情報が入ってきてより惹き込まれる。雨傘運動についての描写も臨場感たっぷり。
参加者のひとりだから当然といえば当然なのだが。

特に気になったものは「ブルース・リーの旧邸はラブホテルになっていて、その後取り壊されることになっている」なんて書いてあって、ホンマか!? とついつい調べてしまった。

ああ、ホンマや……

香港の著者、張さん曰く香港には歴史をアーカイブする文化が無く、歴史が消失しているのだという。
文化や過去はある。だが語る必要性を感じないので今しか語らない。
香港人ひとりひとりが語る『香港』は、その人となりによって変わって来るし、その人がどこに属しているのかでも変わるから語り手を見るのが肝要だという。
張さんが語ってくれたこの本が発行された『2015年の今』が、このノートを書いている『2023年の今』からすれば過去となってくれている。
こういう本で大概登場する『リンゴ日報』はもう潰されてしまっていたりとか、ね……。
多くの人が語った昔の『今』を、丁寧に拾い上げてまとめ上げることで、香港を少しでも知った気になれたらいいなと思う次第。


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