見出し画像

加熱講座9 食用油の役割

適量の油を摂ることは、人間の体にとって必要なものです。 栄養学的には脂質と呼ばれますが、タンパク質・糖質と並ぶ三大栄養素の一つでもあります。 特に、植物油に含まれるリノール酸・リノレン酸等は、必須脂肪酸といわれ、 人の体内では合成できませんので、植物油を含む食品から摂取する必要があります。 これらは、体内のコレステロールを下げる働きもあります。 さらに、ビタミンは油脂に溶解させると吸収が良くなります。

コンテオイルポットがあると、油の扱いが快適となります。

そして、油は、加熱にも大きな役割を果たします。 すなわち、油は水に比べて、よりわずかな熱量で温度を上げることができます。 さらに、油がフライパン表面全体に広がることにより、温度むらが解消されます。 ガスの炎では、フライパン底面の炎の当たる部分に熱は集中します。 電磁調理器では、フライパン側面には熱が届きにくい。 そこで、予熱時に、油返しをすることによって、フライパン表面の温度をむらなく均一にできます。

次に、食材との付着を防ぐ役割を果たしています。 金属とタンパク質は、50度以上になると、熱凝着(ぎょうちゃく)反応がはじまります。 これは、タンパク質を構成する分子の結合が切れて、その分子が遊離して金属面と付着します。 そこで、油が金属とタンパク質の媒介役となって、熱凝着を防ぐのです。 そのため、フライパンに適量の油を敷くことは大切です。 また、茹で上がったスパゲッティーに油をかけて撹拌すれば、麺同士の付着も防げます。

最後に、油そのものが美味しい。 油が含まれると、味にまるみが生じます。まろやかになる。風味と表現しても良いでしょうか。 そして、油が適温に至ると、香ばしい香りが漂います。 これは、揚げたてのコロッケやフライドポテトなどの油独特のカラッとした香り。 これをディープ・フライ・フレーバーと呼びます。 その香りが、美味しさに直結しているのです。 このように、油を制するものは、お料理を制するとも言えるでしょう。