A4のこと

 こんにちは。羊森花です。
 前回も少々触れたんですが、ぺらふぇすがなぜA4サイズ縛りになったのか。今回はそのあたりについて書いていきたいと思います。

 一定ルール内でペーパーやそれに類するものを作ろう!読もう! という、ペーパーイベントと呼んで差し支えないであろう企画がいくつかあります。わたし自身が携わってきた折本フェアもそんなペーパーイベントのひとつでした。
 折本フェアは折本のお祭りです。参加ルールは折本であること。小さいながらも本であることを大切にしていました。中綴じ本にするには足りないけれど折角だから本にしてよ。折本というとても簡単な方法があるよ。そんなところから始まった折本フェア、開始当初の参加作はA4用紙から作られた8頁折本がほとんどだったように思います。参加人数もとても少なかったのですが、回を追う毎に作家さんが増え、フェアに参加してくださる方の数も増えていきました。
 そうなってくると皆さんどんどん工夫を凝らしてくださるんですね。素敵な折本、新しいスタイルの折本がどんどん生み出されるようになりました。情熱を感じる作品が増えていく一方で、これはもう中綴じ本にしてしまった方がいいのでは?という文章量の折本や、これは無理に折本という形にしなくてもいいのでは?というスタイルの作品も増えていきました。
 これは企画のジレンマとでもいいますか、回を増すごとに皆さん上手になってしまうんですね。なってしまう、なんて言うとまるで悪いことみたいですけどそうではなくて、皆さんが折本フェアを楽しもうとしてくださった結果、当初考えていたはじめの一歩の本という想定を大きく越えてしまったのです。それはとても素晴らしいことです。とはいえずいぶん昔に考えた折本フェアのルールで作品の可能性が奪われるのであれば申し訳ないと思うようにもなりました。さてどのようにルール調整していったものか。そんなことを思いはじめた頃、ちょこっと文芸福岡及び折本フェアのお休みが決まりました。思いがけないことではありましたがこれは機会と捉えた方がいい。そこでわたしは実験的に、新しいルールのペーパーイベントを作ってみようと思ったのです。
 とりあえずまずは折本フェアから折本であるというルールを外しました。けれどやっぱり折本は変わらず大好きなので、折本でも参加できるルールにはしようと思いました。折本じゃなくてもいい折本フェアのようなペーパー企画。それだけでは個性も魅力もありません。他にある素敵なペーパーイベントさんたちとの差別化も図りたいですし、やはりなにかしらの具体的なルールが必要です。
 そこでわたしは今までの折本フェアでのあれこれを振り返りました。様々思い返しそして思い出したのです。そうです、A3サイズの印刷物に悩まされた記憶を。ちょっと大袈裟に書いちゃいましたけれど、A3サイズのネットプリントを奇麗に持って帰ってくるのって結構大変ですよね。ペーパーイベントってネットプリントと好相性なので、コンビニコピー機とは切っても切れない縁があると思います。折角の作品、できれば奇麗に持ち帰りたい。それから作家さんの中にはPDFを公開してくださる方もおられますが、A3サイズの印刷ができるご家庭は限られています。ということはつまりA4サイズで縛ってしまえばいいのです。そうすればそれら憂いは消え去りますし、それに何より面白そうじゃないですか。
 実はこんなちょっとしたところからA4サイズの紙1枚から作られていればOKというルールは生まれました。新しいルールを模索してみたいわたしのちょっとした思いつきからでした。思いつき。そうなんですが、とはいえなかなか良い思いつきだと思いませんか? 限られた紙面に思い思いの世界を描く。自分でいうのもなんですが、ルールとしてとてもわかりやすいように思うのです。
 A4サイズのぺらっとした、けれど深い世界を存分に楽しんでいただけたらいいなと思います。


(心配される方がおられるといけませんので一応書いておきますが、折本フェアは辞めちゃったわけではありません。あくまでも休止中です。ぺらふぇすをやってみて変更したほうがいい点とそのままでいい点を見極めていけたらいいなと思いつつの休止中です)




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