コント「中華の鉄人もこみち」

〈登場人物〉
・もこみち(シェフ)
・福澤(司会者)
・ホワイト太田(フードファイター)
・小豆島もえ(フードファイター)
・JAL骨(フードファイター)

開演

福澤は壇上に立っていて、フードファイターの3人はそれぞれ長机の後ろの椅子に座っている


福澤「さあ始まりました、第27回全日本大食い選手権!司会の福澤です。25年連続で司会の大役を務めさせて頂きます。よろしくお願い致します。いやー、会場の国立競技場は満員で、異様な熱気に包まれていますね。ピッチ上では風も強く吹き付け、いかにも大食い最高峰の戦いにふさわしい雰囲気を醸し出しております。熱い戦いが繰り広げられる期待に私も、観客の皆さんも、胸が高鳴っていることでしょう!それではここで、聖地・国立競技場に集いしファイナリスト3名をご紹介しましょう!1人目は、エントリーナンバー2416、ホワイト太田!」

太田「(手でWのポーズを作りながら)おねしゃーっす!(深々とお辞儀する)」

福澤「そして2人目は、エントリーナンバー4685、小豆島もえ!」

もえ「(満面の笑みで)よろしくお願いしま~す!(観客に手を振る)」

福澤「そして最後の3人目は、エントリーナンバー13、JAL骨!」

JAL「めっちゃ食べます!頑張ります!(軽くお辞儀する)」

福澤「そして、大会を盛り上げてくれるこのシェフにも登場してもらいましょう!どうぞ!」


もこみち、「中華の鉄人」と書かれたたすきをかけ、腕を組みながら登場し、舞台中央のコンロと調理台のところに立つ


もこみち「どうも、中華の鉄人こと、もこみちです。今年も精一杯ファイナリストのために料理を作らせてもらいますので、よろしくお願いします。」

福澤「お願いします。それでは早速、もこみちシェフに料理を作ってもらいましょう!」

もこみち「分かりました。ではまず今日の一品目を作っていきたいんですけども、その前にファイナリストの方からリクエストが来ているので読みたいと思います。ホワイト太田さんからのリクエストです。『僕はご飯ものが大好きなので、美味しくてたくさん食べられる牛丼を作ってほしいです。』とのことですね。実を言うと、僕の中華の店でも牛丼はかなりの人気メニューなので自信はありますね。えー、材料としては、牛バラ肉、玉ねぎ、醤油、砂糖、みりん、酒、かつお出汁、オリーブの実、オリーブオイルです。それでは作っていこうと思います。まず最初に、牛肉と玉ねぎを適当な大きさに切っていきます。そして切れたら、オリーブオイルを牛肉と玉ねぎに回しかけていきます。とにかくたくさんかけて下さい。肉や玉ねぎを持ち上げたら、オリーブオイルが滴(したた)るくらいが目安です。かけ終わったら、次に中火に熱したフライパンにオリーブオイルをたっぷりひいて、玉ねぎとオリーブの実を炒めていきます。オリーブオイルはほぼ揚げ物をする時くらいの量でちょうど良いと思います。玉ねぎにオリーブオイルが馴染んだら、醤油、酒、みりん、かつお出汁をフライパンに入れ、ひと煮立ちさせます。煮立ったら牛バラ肉を入れて、アクを取りながら煮込みます。そしてごはんの上に盛り付けて、オリーブオイルをお好みの量回しかけたら、もこみち特製『オリーブオイルの旨み感じる、オリーブ牛丼』の完成です!」

福澤「もこみちシェフ、ありがとうございます。おお、これは美味しそうなオリーブの香りが漂ってきてますね~。オリーブをふんだんに使った、もこみちシェフらしい一品に仕上がってると思います。あ、そうだ、よく考えてみれば、オリーブの実とオリーブオイルの共演って、まるでオリーブの親子丼のようですよね。どうですか、もこみちシェフ?」

もこみち「確かにそうですね。牛丼であり、親子丼でもあるという、1つの発明ができたんじゃないかと思ってます。」

福澤「良いですね。料理界に革命を起こす可能性を秘めた逸品だと思います。それでは、料理ができたところで、この料理をファイナリストの皆さんに食べて頂きましょう!よーい、スタート!」


太田、もえ、JAL、一斉に牛丼を食べ始める


太田「うんめぇー!ゾウの1日の食事量くらい食べられそうだぜぇ〜!」

もえ「ん〜!美味しすぎて、ギロチンみたいな勢いでほっぺたが落ちそう〜!」

JAL「美味しい!つんく♂さんにこの牛丼をテーマにしたギャルルの曲を書いてほしいくらい!」


フードファイターの3人、牛丼を食べ進めるが、しばらくするとキツそうな表情を浮かべ始める


福澤「ファイナリストの皆さん、そろそろ味変したくなってきたところでしょうか。ここで、私の独断で特別救済ルールを発動致します!そのルールとは、『もこみちシェフが牛丼にストップと言うまでオリーブオイルを回しかけてくれる』というものです!もこみちシェフ、お願いします!」

もこみち「分かりました!」


もこみち、オリーブオイルの入った容器を持ってフードファイターのところに移動する


福澤「それではまず、ホワイト太田さんからです!」


もこみち、太田の牛丼にオリーブオイルを回しかけ始める


太田「どうしよう、まだ行けるか?うーん…ここだ!ストップ!」

福澤「いや〜、なかなか行きましたね!めちゃくちゃつゆだくの牛丼に変身して、美味しそうです!それでは次、小豆島もえさんです!」


もこみち、もえの牛丼にオリーブオイルを回しかけ始める


もえ「…ストップ!」

福澤「割と早い段階でストップをかけましたね〜!これはこれで、ご飯とオリーブオイルの割合が2:3くらいでちょうど良い気もします!それでは最後、JAL骨さんです!」


もこみち、JALの牛丼にオリーブオイルを回しかけ始める


JAL「…………………………ストップ!!!」

福澤「お〜、めちゃくちゃストップかけるのを我慢しましたね!オリーブオイルが器いっぱいで、もはや表面張力すら感じることができます!それでは、味変もできたところで、引き続き食べまくってください!」


太田、もえ、JAL、再び牛丼を食べ始めるも、太田、やがてすごく苦しそうな顔になる
もえ、JALはあまり表情の変化はない


太田「ちょっとキツいっすね〜!うわ〜、悔しいけど、ギブアップ!」

福澤「なんと、ホワイト太田さんがここで脱落となりました!残るは2人!果たして栄冠は誰に輝くのか!?」


少し経ってから、もえ、唐突に手を挙げる


もえ「すいません、明日ボクシングの試合の計量があるんです…。なので、申し訳ないんですが、ここら辺で辞めときます!」

福澤「あ〜、なんと!ここで都合により小豆島もえさんも脱落!ということで優勝は、JAL骨さんです!!!」

JAL骨「えっ、私!?信じられない!やったー!!!」


もこみち、賞金の額と副賞が書かれた長方形のパネルを持って現れる


福澤「JAL骨さん、ピッチの中央にどうぞ!」

もこみち「おめでとうございます!」


もこみち、JALにパネルを渡す


福澤「優勝したJAL骨さんには、賞金5000万円と、最高級の国産エクストラバージンスペシャルハイパーウルトラオリーブオイル1年分が贈られます!皆さん、JAL骨さんに最大級の拍手を!!!」


JAL以外の全員、拍手をする


福澤「もこみちシェフ、大会を振り返ってどうでしたか?」

もこみち「今年もとても盛り上がって、良い大会になったと思います!オリーブオイルの美味しさも色んな方々に伝わったと思うので、僕個人にとっても思い出深い日になりました!」

福澤「そうですね、素晴らしい大会でしたね!それでは皆さん、また来年お会いしましょう!ジャストミーーーーート!!!」

終演

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?