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南アフリカ共和国の歴史

南アフリカ共和国の歴史は、非常に複雑で多様なものです。以下は、その概要を簡単にまとめたものです。

古代〜近代

  • 南アフリカには、約300万年前から人類が住んでいました。最初の住民は、狩猟採集民であるコイコイ人やサン人でした。紀元300年ごろからは、バントゥー系民族が南下してきて、農耕や牧畜を行うようになりました。

  • 1488年には、ポルトガル人のバルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達し、ヨーロッパ人との接触が始まりました。1652年には、オランダ東インド会社がケープタウンを建設し、植民地化が進みました。オランダ人の子孫は、ボーア人と呼ばれるようになりました。

  • 1795年と1806年には、イギリスがケープを占領し、1814年には正式にケープ植民地となりました。イギリスの支配に反発したボーア人は、1830年代に内陸部へと移動し、グレート・トレックと呼ばれる大移動を行いました。彼らは、ナタール共和国、トランスヴァール共和国、オレンジ自由国などのボーア共和国を建国しました。

  • 1867年には、ダイヤモンドが発見され、1871年には金が発見されました。これにより、イギリスとボーア共和国の間の対立が激化し、1899年から1902年にかけて第一次ボーア戦争が勃発しました。イギリスは、ボーア共和国を併合し、南アフリカ連邦を建国しました。

  • 1910年には、南アフリカ連邦がイギリスの自治領として成立しました。しかし、イギリスとの関係は緊張したままでした。1931年には、ウェストミンスター憲章によって完全な主権が認められました。1934年には、ボーア人とイギリス系の政党が合同して、統一党を結成しました。

  • 1948年には、アフリカーナー民族主義の国民党が政権を獲得し、アパルトヘイトと呼ばれる人種隔離政策を実施しました。これにより、白人と有色人種の間に厳しい差別と抑圧が行われました。有色人種の反対運動は、非暴力的なものから武装闘争へと変化しました。代表的な反対運動組織は、アフリカ民族会議(ANC)でした。

現代

  • 1961年には、南アフリカ連邦はイギリス連邦から脱退し、南アフリカ共和国として独立しました。しかし、国際社会からは、アパルトヘイト政策に対する非難と制裁が強まりました。1976年には、ソウェト蜂起が起こり、有色人種の抵抗が激化しました。

  • 1980年代には、アパルトヘイト政策の緩和が始まりました。1989年には、F・W・デクラークが国民党の党首兼大統領に就任し、アパルトヘイトの撤廃と民主化を推進しました。1990年には、ANCの指導者であるネルソン・マンデラが釈放されました。1991年には、アパルトヘイトの法律が全て廃止されました。

  • 1994年には、初の普通選挙が行われ、ANCが圧勝しました。マンデラが大統領に就任し、人種の和解と国家の再建を目指しました。1996年には、新しい憲法が制定されました。1999年には、マンデラの後継者としてタボ・ムベキが大統領に就任しました。

  • 2000年代には、南アフリカはアフリカの経済的・政治的なリーダーとしての役割を強めました。BRICSやG20などの国際的な組織に参加しました。2004年には、ムベキが再選されました。しかし、経済格差や貧困、エイズ、犯罪などの社会問題は依然として深刻でした。

  • 2008年には、ANCの内紛が表面化し、ムベキが辞任しました。後任の大統領には、ケイレマ・モトランテが就任しました。2009年には、新たに結成された民主連合との選挙戦を制したANCのジェイコブ・ズマが大統領に就任しました。2010年には、南アフリカはFIFAワールドカップの開催国となりました。

南アフリカ共和国の文化

南アフリカ共和国の文化は、多様な人種、民族、言語、宗教、歴史的影響によって形成されてきたもので、非常に豊かで多彩です。南アフリカには11の公式言語があり、その中で最も広く話されているのはズールー語、クワザ語、アフリカーンス語、英語などです。

南アフリカの料理は非常に多様で、地域や民族の影響を強く受けています。ボボティ(肉のパイ)、ビルトング(乾燥肉)、ブーレヴォース(ソーセージ)、ポトジー(鍋料理)などが有名です。南アフリカでは伝統的なコーソのビール(ウムクンボート)もよく飲まれています。これはトウモロコシとトウモロコシの麦芽を発酵させて作られ、甘くてクリーミーな風味が特徴です。

南アフリカの芸術は、壁画、彫刻、陶器、織物など、伝統的なアフリカの技法と欧州風の技法の融合を見ることができます。ビーズワークやバスケットウィービング(籠編み)も非常に人気があります。南アフリカからはノーベル文学賞を受賞した著名な作家も出ています。例えば、ナディン・ゴーディマーとJ.M.クッツィーがいます。南アフリカはアフリカ大陸の映画産業の中心地の一つで、国内で制作される映画はもちろん、国際的な映画もよく撮影されています。

南アフリカには多くの祭りやイベントがあり、その多くは特定の民族グループや地域の文化を祝っています。例えば、ウルウフェスティバルやケープタウンのカーニバルなどがあります。これらの他にも、スポーツ(特にラグビー、クリケット、サッカー)、野生動物観察、ワイン産業なども南アフリカの重要な文化的側面を構成しています。

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