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掃き溜めに精神

玄関先の飛び石で杖をつきながら母が小さな草花をみつめていった。「この小さい花がかわいいと思ってスマホでしらべたら、なんとハキダメグサという名前だったのよ!」

掃き溜めの草! そんな名前があっていいのか。自分でも調べてみたら、たしかにそうだった。正確には「ハキダメギク」という。キーフレーズの「ハキダメ」は変わらない。なんてことだ。

名付けたのは牧野富太郎である。おい! いまの朝ドラじゃないか!
スマホに向かって「おい!」といったのは初めてだった。いや友人から金を返してもらうときにも叫んだ気がするが、さておき牧野富太郎はなぜこんな名前をつけたのか。

ウィキペディアいわく「世田谷の掃き溜めで発見したのでこの名前がついた」。

おい! 富太郎! いまの朝ドラでもぜってーこのエピソードやれよ! ぜってーだぞ!

「世田谷の掃き溜め」というのが具体的にどのような場所なのか検討がつかないがこれはアレか。「掃き溜め」という言葉は昔そんなに汚い言葉じゃなかったという可能性があるのか。当時はふつうの言葉で「ふつうの掃き溜め」だった可能性があるのかな。だって「吐き溜め」じゃないもの。「掃き溜め」だもの。ちりとりで集める感じがするもの。

国語辞典を引いてみた。
掃き溜め…
①ちり、ごみ、汚物などの捨て場。ごみを掃き集めて捨てておく場所。ゴミ捨て場。ごみため。ちりづか。
②雑多な人やモノが集まっているところ

おい! 富太郎! やっぱり後ろ暗いニュアンスあるだろ!
そういえば「掃き溜めに鶴」ということわざがあったことも思い出したぞ。なんなんだ、うちの玄関先のなけなしの小道にさいた草花に「ハキダメ」って!

悔しくて外国語を調べた。

Shaggy soldier (毛むくじゃらの兵士)

Hairy Galinsoga (毛むくじゃらコゴメギク)

毛むくじゃら! 嫌だ~~!

その後、花言葉をしらべて少しだけ気分が落ち着いた。

「不屈の精神」

不屈の精神だけはハキダメギクと気持ちを共有できそうです。

おたがいがんばろうね。

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