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言い返してやればいい

トイレで再読した『南方マンダラ』。南方熊楠が書簡の中でショーペンハウアーを軽くディスっていた。「カネ持って余裕のあるやつは精神を病みやすく、必死に生きていたら絶望とか考えないのだ」とか。いいたいことは分かるし、よく言われることでもある。そして、これもよく言われることだが、こうしたお説教は実際に病んでしまった人たちには届かない。そもそも現代の日本社会では病んでしまった人たちが「カネ持って余裕のあるやつ」かはだいぶ疑わしい。しかし「時代が違う」と否定するのはフェアじゃないだろう。私的な手紙を後世の人間に読まれるなんて気の毒だとは思う。

それはそれとして、「貴様は必死に生きていない」と他人から言われたとしたら、何と言い返そうかと考え込んでしまった。

「死んでるみたいに生きてもいいじゃん」――これは『リトルゾンビーズ』の監督がいった言葉だが、案外好きな言葉だ。優しさが感じられるから。

「余計なお世話だ馬鹿野郎」――これは今私が思いついた言葉だが、なかなかいいと思う。自画自賛。おそろしく単純な言葉なので、オリジナリティがないけれど、でもそれが逆にいいところだ。

「逆に」といえばマウントを取り返せると思ったら大間違いだけど、逆にバカっぽくていいじゃないか。うるせえ。

失礼なことを言ってくる人間にはディスり返してやったらいい。
南方熊楠だろうが言い返してやればいい。
余計なお世話だ馬鹿野郎。

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