#1 はたらき方のためのツール
こんな状況に対応していくためのツールやサポートに関して何が必要かを、自分の経験に基づいた働く人の目線から考えてみたい。
*良いことか悪いことかはわからないが、私は職業の変更(今で言うリスキリング)、転職経験は豊富な方である。
専門家に相談するまえにしておきたいこと
はたらき方が多様化した結果、職業を人生を通じて自分の手本にできる人をなかなか探しにくい状況になってきていることを書いた。見習う人を探すのが難しい状況のなか、ビジネスの移り変わりが激しい中で、自分がどんな働き方していきたいかを自分自身で意識しないと社会に振り回されてしまうことにもなる。
このような状況だからこそ、自分の仕事や働き方に関して悩んだときに相談できるキャリアコンサルタントやカウンセラーという人達がいるじゃないか、という人がいるだろう。果たしてどれだけの人がこのような専門家に行き着けるだけ行動力があるかという問題はさておき、このような人達の役割は、働く意志のある人に働く機会を与え続けることである。つまり、相談相手を社内で落ち着かせることや、次の企業に送り届けることだったりする。
そのため、相談を受けてみると、よほど切羽詰まった状況でない限り、自分の心が固まっていない内にどんどん前に進んで行くことに戸惑いを感じたり、自身に足りない何かがあると感じて活動を頓挫してしまうことがしばしばある。
その原因を考えてみると、人と物事を進めるためにどうしても必要な2つが欠けている可能性があげられる。
一つは、自分のキャリアがどんな方向に向かっているかの見通し(ゴールイメージ)があげられる。職種・業界の経験は、自身の仕事経験を通してのみ得られるものだが、一方でそうそう路線変更しにくい部分でもある。また、普段は意識しにくいところだが、同じ職種でも業界が違えば、業務内容の範囲や権限・将来性や、仕事のペースも異なる。自分の抱えている課題が勤務中の組織、会社、業界、職種のどのレベルに関わるのか考えよう。打つべき手も変わってくる。
もう一つは、今変えたい状況がどうなればとりあえず成功!という基準(評価基準/クライテリア)があるか。人は、自分が何かしている時にダメ出しはすぐできるが、これで良いということは中々判断できない。このため、どうなれば「とりあえず成功だ」という基準を設定して置かなければ、いつまでも満足できない状態が続く傾向がある。
以上のことから、はっきりしたもので無くても良いので、とりあえずの案という前提でゴールイメージと評価基準について考えておくことは専門家や他の人とのコミュニケーションがスムーズになる。
悩める働き手の状態について
また、自分の仕事やはたらき方に不安や疑問を感じるという状況は、以下のような課題を一定期間抱えているということではないだろうか。
個人的な事情ではたらき方を変えざるを得ない
自分のライフステージが変わることで、今まで通りのはたらき方ができない
今の仕事に対する自分の能力や、はたらき方に不安を思えている
自分の将来が見えない
今の職場が合わない
状況は様々だけれど、一日のうち最も長い間時間を費やす活動について、否定的な感情を抱き、自分の能力や将来に対して自信を無くしたり、精神的に消耗している。
じつは、キャリア上の問題を解決しなければならない時に、この精神的な消耗の影響があると思われる。このような心理状況では、切羽詰まっているが故に大きな決断ができるが、普段よりも客観視できなかったり、冷静な判断ができにくい状態になっている可能性があり、後で後悔する原因を作りかねない。
どんなサポートが必要か
以上の様なことから、キャリアについて悩んだときに、まず必要なサポートは応募案件のある企業リストではないようだ。ということで、サポートやツールにあれば良いと思われる機能を2つにまとめた。
状況が整理され、何らかの策が見つかる
メイン機能として、自分を少し広い視野から見直し、現在の状況・課題を整理し、どのような修正が必要かを考えるための道筋。
自分に対して自信が取り戻せる
悩める働き手の心は消耗している、自分に自信を無くしたり、将来に関して悲観的な感情を抱いている。説得や一方的な理論の押しつけではなく、自分が働いている未来に対してより肯定的なイメージが持てる状態にできるしくみである。
働き方について、いつから考え始めたらいいのか
以上、キャリアを考えるツールやサポートについて考えてみた。
最後に、文中で専門家に話し始める前にしておいた方が良いことがあると書いたが、では、いつからキャリアについて考え始めるのが良いのだろうか?
仕事が充実していてに夢中になっている時に考える必要はないだろう。ビジネスに集中するときで、ビジネスそのものの将来性に向けての検討に時間をかけるべきだろう。ただ、調子をピークに維持する傾向の人は、時には自分を客観的に見つめる時間を設けることも必要かもしれない。
それ以外の状態で、仕事をしながら少しでも自分の仕事の環境変化や、何かしら将来に関する不安を感じだした時なら、いつでも遅くないと考える。
仕事は生活する上で一生ついて回るものだし、人生においてしばしば思い返して、もっとこうすれば良かったんじゃないかなどと考えるからだ。
手頃に入手できるツールなど
以下は、とりあえず自分で今後のはたらき方について考えるときツールとなりそうな書籍を上げてみた。書籍は、
ティム クラーク『ビジネスモデルYOU: キャリア再構築のための1ページメソッド』(2012年刊)
ビジネスモデルを個人に応用するという発想が面白い手法。編集デザインが原因なのか手法の流れにについて理解しづらいの難点。気軽に始めてまれるし、奥が深いところが良い。
村山昇『働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える』 (2018年刊)
働くことに関して、多角的な視点で解説を交えながら、自分について考えさせてくれる。内容に関してはうなずける部分が多いが、基礎知識的な情報量が多いのと、言葉のチョイスの面でもう少しユーザーに寄り添ってほしいところ。
ビル バーネット『スタンフォード式 人生デザイン講座 (ハヤカワ文庫NF) 』(2019年刊、ただし原著は2016年刊)
デザイン思考を個人のキャリア計画に応用した手法。ゼロ・ベースで自分のキャリアを考える手法・手順が用意されているが、長時間かけて考えるのに適しているようだ。
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