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千年遡ると源平藤橘(げんぺいとうきつ)に当たるというが、それならすべての人が天皇家に近い血筋?ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉕
スタンリー・キューブリック監督の名作「2001年宇宙の旅」では、人類の祖先が知性に目覚めるシーンから始まります※1。私たちの祖先がモノリスの恩恵にあずかっているかどうかはさておき、そのような人類発生から連綿と続いた末裔が私たちであることは間違いありません。面識のある無しに関わらず※2、人はみな、2人の父母から生まれているため、ある時代において自分の「祖先」に当たる人の数は計算できます。1世代前は2人、2世代前は4人、と続いていくので、一般にN世代前には2N人いることになります
すべての物事は数式で表せるというけれど<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」⑱
自然科学は、あらゆる自然現象に対する素朴な「なぜ?」を究極まで追求する営みです。 それは例えば、小噺としてよく出される「リンゴが木から地面に落ちるのはなぜ?」というものから、「我々がこの世に存在するのはなぜ?」というものまで、あらゆるレベルで当てはまります。元をたどればこれらは、古代文明の時代から人類が抱いてきた素朴な疑問です。 「確からしさ」の尺度 しかし、いくらでもそれらしい仮説を立てることはできるものの、その仮説を検証するには何らかの「確からしさ」の尺度が必要になり