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社会福祉士が伝える退職代行サービスのメリットとデメリット


退職をしようか悩んでいる方、仕事が辛い方、退職代行の利用を考えている方へ


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

心がけていることは「目的地に辿り着けなかったとしても楽しむことを忘れない」です。




「退職代行」


会社が従業員にフラれるのが「退職」です。会社からすれば「何が気に入らなかったの?」「嫌われてショック・・」「いろいろしてあげたのにムカつく」。そんな会社の思いを分かっているので従業員も「退職したい」とは言い出し辛いのです。

そんな退職したいとは言い出し辛い従業員のニーズを満たしてくれるのが「退職代行」です。

今回は社会福祉士(制度やサービスの発見及び利用のサポートを専門とする弊所)から見た「退職代行」のメリットとデメリットをお伝えします。




退職代行のメリット


「退職代行」とは一言で言えば「メンタルサポート」です。言いにくいこと(退職したい)を代わりに言ってもらうことでストレスやプレッシャーを回避できるわけです。退職が大きなストレスになっていて心身に不調をきたしている方には大きなメリットです。




退職代行のデメリット


会社の制度(もしくは会社が窓口となる制度)の利用ができない可能性があります。

例えば

傷病手当金の申請をしたい


年次有給休暇の取得をしたい


最後の給料を受け取る※会社が退職代行を使わせないために、雇用契約書もしくは就業規則に「最後の給料は直接本人に手渡しをする」という文言を入れている場合があります。


退職金を受け取る※上記同様、会社が退職代行を使わせないために、雇用契約書もしくは就業規則に「退職金の支給は会社が直接本人に(支給の方法や時期、金額等の)説明及び同意を得た上で行う」という文言を入れている場合があります。

など




会社が「退職」を受理する理由


いずれも「退職代行」から会社へ伝えてもらうことはできます。しかし、弊所の相談実績からすると約半数の会社は「退職は受理するが、それ以外については本人と話をしないことには受理できない」という対応です。

会社が退職を受理する理由については、以下のように法律で定められているためです。

民法(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

e-gov




会社が「退職以外のこと」を受理しない理由


それ(退職の受理)以外については法律で定められていないので、会社としては「退職代行」ではなく、直接本人が会社と話をした上で手続きをすることを望んでいます。ある会社からは「退職代行を使うことは会社に対して不義理だ」と言われてこともあります。

また、それ(退職の受理)以外の会社が受理しなかったことについて、それらのことを「退職代行」が会社と交渉しない(できない)理由については、以下のように法律で定められているためです。

弁護士法(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

e-gov


このように退職代行を通して退職の意向が伝えられた場合、会社は退職の受理はするが(法律で定められているため)、それ以外については受理しないことの方が多いようです(法律の定めがなく、退職代行も会社との交渉が認められていないため)。よって退職をするにあたり、会社の制度(もしくは会社が窓口となる制度)の利用ができない可能性がある、ということです。




弊所は退職のお悩みや困りごとのサポートを行っています。


ご自身で会社に退職の意向を伝えるか、退職代行を使うか、サポート(退職に関する相談対応、使える社会保障制度の調査及び利用支援)を受けるか。ご状況や心身の状態によって何を選ぶかは違ってくると思います。今回の記事がこれからの生活がよりよくなるための一助になればと思っています。



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