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富津・金谷には何人住んでいる?-金谷は既に"限界"?-

今回は富津・金谷に何人住んでいるのか、「人口」についてみていきたいと思います。

図だけをみても楽しめます!

富津市の人口

富津市に何人住んでいるかということをみてみると、2015年時点で4.6万人(国勢調査,2015)となっています。
「市」としては、平均より少ないくらいでしょうか。

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【出典】総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
【注記】2020年以降は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(平成30年3月公表)に基づく推計値。

日本全体は、人口減少、少子高齢化社会が進んでいます。富津市では今後どのように人口は変化するでしょうか。

富津市の人口変化

それでは、富津市の人口変化をみてみたいと思います。下の図をご覧ください。これは、1980年から2045年までの5年毎の人口変化をあらわしたものです。

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【出典】総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
【注記】2020年以降は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(平成30年3月公表)に基づく推計値。

現在(2015年時点)の人口が、30年後にはおよそ4分の1になってしまうことが分かります。

もし、あなたが2020年時点で20歳なら2045年には45歳、40歳なら65歳の時です。2045年は遠い将来のようにも思えますが、みなさんまだまだ心身が充実しているときに訪れる現実的な状況です。

そして、ポイントは、生産年齢人口と呼ばれる15~64歳と老年人口(高齢人口とも言います)にあたる65歳以上の人口がほぼ同じになるということです。

もう少し分かり易いように図で説明してみましょう。

富津市の年齢構成の割合

下の図は、富津市の人口を「0-14歳」「15-64歳」「65歳以上」の3区分に年齢で分け、2015年・2030年・2045年の各時点の構成割合をあらわしたものです。(一番右は千葉県のものです)

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【出典】総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
【注記】2030年、2045年は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(平成30年3月公表)に基づく推計値。

2015年時点でも、千葉県全体より大きく高齢化が進んでいることがわかります。さらに、2045年には、15-64歳と65歳以上の人口がほとんど同じとなります。働く世代1人で高齢者1人を支える社会になるということです。

●おまけ知識(可住地人口密度について)※少し興味が出てきた方向け!
人の住める地域に住んでいる人口の密度を「可住地人口密度」といいます。富津市は565人/㎢。これは1km×1kmの地域に565人住んでいるという意味です。もしみんなが買い物を1km以内の距離で済ませるのであれば、利用者がそもそも565人しかいないということになります。(実際には、みなさん自動車で移動するのでそんなことはありません。ただし、自動車が使えない人が増えると途端に売り上げが下がるお店も多くなりそうです。)
なお、この数字は千葉県60市区町村のうち41位、全国1905市区町村のうち951位。丁度真ん中かどちらかと言えば少ない方だという順位です。
ちなみに、都道府県単位で可住地面積(人の住める面積)をみてみると、47都道府県中、2位です。住んでいる人には直感的にわかるかもしれませんが、千葉県は日本の中ではかなり平坦な地形だといえます。

続いては、金谷の状況を見てみましょう。

金谷の人口

金谷には何人くらい住んでいるかご存知でしょうか?

正解は、1389人です。(2015年時点)

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【出典】総務省「国勢調査」,2015

富津市全体の人口が約4.6万人ですから、金谷はそのうち約3%ということになります。こうみると結構少ないようにも思えますね。

さて、金谷にはわれらが誇る鋸山があるなど、海に面している一方かなり山がちな地形でもあります。

そのため、金谷という地域の面積は広いようにも思えますが、実はかなり限られたところにしか人は住んでいません。続いてはその状況をみていきましょう。

金谷で人が住んでいる地域

下の図は、金谷で人が住んでいるところに色を塗ったものです。

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【出典】総務省「国勢調査」,2015

海沿いに多くの人が住んでおり、特にフェリー港や浜金谷駅がある地域で多くなっていることがわかります。

一方で、右上にも色が塗られています。ここは完全に山です。しかし、「0~25人未満」と少数ながら人が住んでいます。こういったところに住んでいる方は、ほぼ間違いなく自動車を運転していますが、年齢が上がるにつれ、運転も危険性を伴うようになります。そうなると、日常的な生活がとても苦しくなってくることが考えられます。今からでも、対策を考えていく必要があります。

最後に、金谷の年齢構成をみてみましょう。

金谷の年齢構成の割合

金谷の年齢構成の割合をみてちょっとショックを受けました。もう"限界"なのです。
下の図をご覧ください。

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【出典】総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
【注記】2045年は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(平成30年3月公表)に基づく推計値。

これをみると、既に65歳以上の人口が半分を超えています

富津市の2045年と比べても金谷の方が少子高齢化が進んでいます。2015年の時点で金谷は既に富津市の2045年を飛び越えた状況にいるということです。

このデータをみて感じたことは「金谷は既に"限界"地域だ」ということです。

「限界集落」という言葉があります。これは、色々な使われ方をしますが、とても簡単な定義の一つが「65 歳以上の高齢者が集落人口の半数を超えた」状況だということです。

これを参考にすると、金谷は、集落ではなく地域として、既に"限界"の域にあると考えられます。

「限界地域」であることで、直ちに何か起きるわけではありません。健康寿命も延びていますし、ひと昔前の65歳と現在の65歳では全く状況は異なるかもしれません。しかし、確実に少子高齢化が進んでいるということはきちんと認識しておく必要がありそうです。

「限界集落」という用語については、必ずしも明確な定義が確立しているとはいえませんが、代表的なものとして、大野晃氏(北見工業大学教授、高知大学名誉教授)による以下の定義があります。
『65 歳以上の高齢者が集落人口の半数を超え、冠婚葬祭をはじめ田役、道役などの社会的共同生活の維持が困難な状態に置かれている集落』(大野晃、2005、「限界集落-その実態が問いかけるもの」、『農業と経済』2005 年3月号、5 頁、昭和堂)

さいごに

人口の話をすると、とかく暗い話になりがちです。それは一定程度しょうがない部分もあると思います。しかし、その未来は確実にやってきます。

みんなが、現状についてしっかりと共通した認識を持つことが第一歩です。そして、そこから、みんなで明るく元気に暮らしていくための方法をぜひ考えていきましょう!

当研究所はその手助けをしていきたいと思っています。

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