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『人生』に多くを望むことは

『人生』に多くを望むことは、彼にとって酷なことである。

 人生には辛い時期と幸せな時期とがあるものだけれど、多くの人にとって、それはきっと辛い時期の方が多いのじゃないかしら。あるいは、辛い思い出の持つ質量というものは、その時期の長短に関わらず、莫大なものとなるのじゃないかしら。
 だから、人生に多くの幸せや、多くの良いものを望むことは酷なことであって、私たちは適切、適度を知るべきでしょう。

 そして、その適切、適度な良い幸せなものこそが、私たちにとって最大の宝となり、どのような辛い時期にあっても人生の根底を支える強靭な土台となるはずですし、そうであるべきです。

 エピキュリアン、快楽主義者と呼ばれた人々の生活は、その蔑称にも拘らず、人として本来的に『人生』に対して望ましい態度だったのだろうと私には思えならないのです。


2023/01/05

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