彼女の口から出る言葉はときどき桃のようで、ときどき林檎のようだ。
桃のときは柔らかく、私の耳に入り来ると、口内に迸る果汁と満ち溢れる芳香を思い起こさせる。
林檎のときは歯応えがあり、シャクリと噛み砕く楽しさと、飲み込みがたい気難しさを併せ持つ。
そしてどちらも優しさと美味がある。

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