立ち直れないのは、理由がわからないから
齢40を超えてからというもの、感情に振り回されることが少なくなり、自分のことで涙することも無くなった。
友達から最近どう?と聞かれれば、「平和だよ〜」と答えていた矢先に、しょーもないことで私のメンタルヘルスが不調をきたした。
自分で自分を価値がないと発言したことにより、自らドン底に堕ちに行って泣き出したのだ。
理由はなんともくだらない。
そして、大したことでもない。
10日ぶりに会った彼が、左頬上にあったシミを消していた。
2万円ほどだったらしい。
出張から戻った彼と2人でカクテルを飲み、ラーメン屋に行った。
ご馳走様でした!と彼に言うと、ここは払った方がいいんじゃない?と言われた。
いや、むしろこんな遅い時間に付き合ってあげたんだからと言って彼にお会計を託した。
彼はそのまま2人で2千円と少しのラーメン代を払ったが、私の中で沸々と湧き上がるものがあった。
こんな遅い時間に付き合ってあげたのに?
ラーメン1人1000円を渋られた?
私の彼はケチなのである。
しかし、必要なものには金払いをケチることはない。
部下の結婚祝いや出産祝いに自腹で10万円だすこともある。
そういった彼の性分を知っているからこそ、私にラーメン代の1000円は出せないのか…と、その時は心からがっくしきてしまった。
そして、そのがっかりを伝えたく
「ご馳走してくれなくていいから(そもそもしてくれないけど)、私ももう何もしない」と宣言をしたのだ。
私が何に感情的になっているのかわからない彼は何に怒ってる?と聞いてくるので
「あなたは価値のあるものにお金を惜しまない。だから、シミを消す2万円を払うが、私にはラーメンの1000円を渋る。それは、その価値が私にないからだ」と伝えた。
その言葉にショックを受けたのはほかでもない自分自身だった。
私はなんと価値のない人間なのだ…と。
自分で自分を突き刺し一人芝居もいいところなのだが、ひとしきり泣き、このことについて再び考える。
自分の価値は他人に決められるものではないのに、私はなぜこんなどうしようもないことに嘆き落ち込んでいるんだろう。1000円くらい払えるし、別にどうってことないじゃないか。
自分でも腑に落ちないので、うんぬんと考える。
考え続けて答えに辿り着いた。
彼の服が洗われて、干されて、畳まれて、仕舞われて、アイロンをかけられて
朝起きれば何かしら出てきて
風呂だって洗われて、いつだってきれいな湯船に入れる
風呂に入ればタオルが出て、着るものも出て
あなたが健やかな1日を送れるのは、こちらの時間と労力を使った日々の上げ膳据え膳の上にあるのではないか?
つまり、私が落ち込んだのは私の価値云々ではなく、私が提供している一定レベルの生活が彼から評価されていないということに悲しみを感じたのだと自分のことを理解した。
そんなこんなで金曜の深夜に落ち込み、月曜日の朝立ち直った。
自分でも理解していない怒りや悲しみをぶつけられた彼にはたまったものではないだろうが
自分の感情の震源がわかると、なるほどそういうことかと理解に至った納得感でスッキリするものだということを改めて感じた週末だった。
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