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香り

不思議なくらい
悲しい記憶が似ている
ふたりだった

君にエピソードを話すたびに
「僕もそうだった。」
と返ってきて

同じ香りを
どちらからともなく
察知したのか
偶然なのか
あの日のふたりの出逢いを
心から祝福したい

いつだって
帰りたい場所は
街の喧騒から離れた
森の小路

耳を澄ますと
川のせせらぎが聞こえてきて
木々は小鳥の訪問を
心待ちにしていた
そこでは
あらゆる生き物が
深呼吸を
大事にしていて
川のほとりで
うたた寝している猫もいれば
大きな木の下で
雨宿りしている
木こりのお爺さんもいて
そんなお爺さんの相棒は
勇敢で優しい愛犬のトパーズ 
気難しくて繊細なお爺さんの
心の内を
誰よりも理解しているのだった

ふと見渡すと
野原には辺り一面
コスモスが咲いていた

そういえば
君と出逢った日も
通りすがりに
コスモスが風に揺られて
あたしは珍しく
甘い香りの
チョコレートコスモスと
挨拶を交わしたんだ

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