ミナミノミナミノを読んだ

ミナミノミナミノを読んだ。読んでしまった。ほげえ。

元々途中で未完で終わってることは知っていたが、イリヤの作者だし、なにより友達が勧めているから読むしかないと思った。でも、やっぱりここで終わるんかい!って気持ちになった。kidleのシークバーが終わりに近づくにつれ、「これ絶対いいところで終わるやん」という気持ちが強くなった。

物語の感想としては、これから面白くなりそうな種がばら撒かれたところで終わったので、わくわく感としてはピカイチではあるが、今まで読んだ本と同じような読後感はからっきしである。不完全燃焼だ。

舞台も最高。キャラもいい、伏線もいい。それなのに未完!
とても美味しそうなコース料理のメニューを眺めて、さあ食べようと思った瞬間に店から追い出された気分である。
それでも、描写された数少ない点で感想を述べるなら、主人公がとても人間らしいところが好きだ。

主人公は8回も転校している。だから他人との距離感が上手いが人一倍興味がない。と思っていたがあくまでそれは過去の経験から形成された人格であって、根っこの部分はは不思議な状況に戸惑い、楽しみ、狼狽える普通の男子中学生である。そこがすごく好きだった。

イリヤを読んだ時、あまりの設定のとっぴさにキャラへの没入感は消え、完全に浅羽を応援する立場となって読み進めていったが、今回の正時にはすごく感情移入ができた。だから物語に散りばめられている違和感に対しては心の底から震えがることができた。
一見親しみやすそうな島民たちではあるが、拳銃があったり空を飛んだり、カニを踏んだり、すんでのところで異質さを醸し出してくるおかげでどこまで行っても客人の正時の不安を感じることができた。ような気がする。まあ正時の方が慣れない土地での振る舞いに一日どころか八日の長があるわけだが。

なんにせよ、こんなところで終わってしまってどうしろと言うんだ俺のこの気持ち!完結してくれと切に願う。
しかしながら、この気持ちのいいくらいの投げっぱなしが解釈の余地をもたらし、俺の妄想力を強くしてくれるのかもしれないと思った。


ミナミノミナミノを読んだ。未完なのはとても歯がゆいが、それでも読んで後悔はない。
これからの正時達の活躍を想像するだけで少しワクワクすることができる。


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