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【山歩き】トレッキングポールを買うときに考えること&レビュー

トレッキングポールを買うときに何を考えているのか、例によって、山歩きをする皆さんが買うときの参考、そして、あわよくばメーカーさんの製品開発の参考になればなーという記録です。

考えること

I字2本かT字1本か

トレッキングポールは、グリップの形状からI字とT字に大別され、1本で使うときはT字、2本で使うときはI字であることが一般的です。

で、当然2本買うとなると2倍のお金がかかるわけで、1本でいいのではなかろうか…と悩むわけです。僕も、最初とりあえず軽いI字を1本買い、次にちゃんとしたT字を1本買い、結局ちゃんとしたI字を2本そろえるに至りました。

感触として、1本と2本とでは、負荷分散が全然違います。2本あれば、常に一方の足と一方のポールをつなぐ線でバランスをとることができます。あるいは、3点支持の要領でゆっくり歩けば、面でバランスをとることもできます。1本だと、必ずポールが浮く瞬間があるので、その間はポール無しで歩いているのと変わりません(むしろポールによる余計な重心移動が発生する)。また、左右非対称にバランスをとることになるので、ポールの置き場に頭を使い、歩くのが遅くなる感覚があります。

要するに、ポールをちゃんと使って足の負担を減らしたいなら、2本使うべきだと思います。そこまでは求めず、ふだんは軽い支えとして、万が一の時のためのお守りとして持っておきたいなら、1本でもよいと思います。

使用時の長さ

まず、特に初心者であればあるほど、長さを調整できるポールをおすすめします。ググると目安はいろいろ出てくるわけですが、それが自分に合っているとも限りませんし、登りと下りで理想の長さは異なりますので。

一応、目安とされる長さと、実際に僕(身長約170㎝)が使っている長さを書いておきます。

  • I字…身長cm×0.63。僕の場合、105~110㎝で使っています。

  • T字…身長cmの半分。僕の場合、85~90㎝で使っています。

I字について、×0.65や、肘が直角という書き方もありますが、それだとやや長いと思います。長くするほどポールを推進力として使う動かし方になりますが、その分、腕が疲れます。ポールは、あくまで負荷軽減、バランス保持のために使うものだとすれば、短めで使うのが良いと考えます。

収納時の長さ

理想はデイパックの中に収納できること。そうでないなら外に取り付けることになりますが、それでも長すぎると電車等で周りに迷惑がかかるので良くないですね。僕のデイパックだと、中に収納するなら50㎝以下、外に取り付けるなら60㎝以下ぐらいでないと困ります。

重さ

腕への負担、そして使わないときはただの荷物になることを考えると、軽いに越したことはありません。目安として、市販されているトレッキングポールの重さは、1本あたり約150g~約250gです。調べればこれより軽いものも見つかりますが、必要な機能が漏れていないか、自分のアクティビティに必要な強度を備えているか、買う前に確認すべきです。

同じ構造のポール同士を比較すると、アルミよりカーボンの方が軽くなります。一方で、カーボンの方が高価です。また折れやすいという話もあります(折れるまで使ったことはないので分かりませんが)。ここはお財布と相談ということになろうかと思います。

折り畳み式か伸縮式か

これは大変悩ましいところです。収納の便宜を考えると折り畳み式の圧倒的な分があるのですが、僕としては、収納時の長さが許すならば、伸縮式をおすすめします。理由は2つあります。

ひとつは重さ。トレッキングポールを調べると、よく「伸縮式は筒を重ねるために直径を太くする必要があるから重い」と書かれています。確かに最軽量モデルは折り畳み式であることが多いのですが、それは長さ調整機能がない場合の話。今のポールを買うときにいろいろ比較したところ、長さ調整機能のある折り畳み式よりは伸縮式の方が軽い場合がほとんどでした。

もうひとつはとっさにしまえること。山では「ちょっとトレッキングポールが邪魔だな」という場面に遭遇します。そういうとき、伸縮式ならばすぐに短くすることができます。ちょっとした場面ならそのまま手首にぶら下げておいても良いですが、多くの登山用バックパックには、ポールを一時的に脇差のように固定できるループがついています。これを利用できるのは伸縮式のポールだけです。

部品の調達のしやすさ

トレッキングポールは、基本的に、バスケットと先ゴムをつけて使います。そのバスケットが割れてしまったり、先ゴムが落ちちゃったり、あるいは雪山で使いたいからスノーバスケットに交換したいと思うことも出てくるでしょう。そんなときに部品を確実に入手できるよう、信頼できるメーカーの製品を買うことをおすすめします。

レビュー

モンベル U.L. フォールディングポール

僕が最初にとりあえず買ってみたポールです。U.L.(ウルトラライト)の名の通り軽いのが特長ですが、長さ調整もできず、何と言ってもグリップに握りやすい工夫が無いので、とても使いずらいです。知識が少なかったせいでもありますが、ポールってこんなに疲れるのか、と、しばらくポールを敬遠する原因になりました。安くて軽いので最初に手を出してしまいがちかもしれませんが、初心者にこそおすすめできません。

モンベル Tグリップ ラチェットロック

僕の実物。なぜか今モンベルのオンラインショップから消えているので。

この特長は、なんといっても4段継ぎで実現された収納サイズ47㎝というコンパクトさと、さすがモンベルという安さ(5000円以下!)。なお、長さ調整は、スクリューやレバーではなくラチェット方式なので、5㎝ずつの段階式です。

「収納時の長さ」を考えた際に「僕のデイパックだと、中に収納するなら50㎝以下」などと申し上げましたが、現実問題として、伸縮式で50㎝以下になるポールはかなりレアです。モンベルの「Tグリップ ラチェットロック」はそれをかなえてくれているレアアイテムと言えるでしょう。

使用感も良好で、ラチェット方式なので接合部が不安定なのではないかという不安もありましたが、まったく気にならないレベルでした。「とりあえずT字ポール持っとくか~」という方には最適だと思います。

グリップウェル ジェム・カーボン

僕が今年、富士山に登るために本気で探した結果たどりついた一品。

1本166グラムという軽さ、日本人の身長にあった~125㎝という使用長、バックパックに取り付けても違和感のない58㎝という収納長、スクリュー式の弱点を克服したと自負する結合部、手にフィットし、かつ、握り位置を変えられるよう長めに張られたグリップ、気分を高めてくれる明るいカラーリング、メーカー通販でいつでも送料無料で買える先ゴムとスノーリング、というほぼ隙のない見事なポールです。

グリップウェルは、日本向けのトレッキングポールのみというブランドなので(昔は手袋を作っていたらしい)あまり知名度はないですが、『山と渓谷』でベストバイを獲得するなど、知る人ぞ知るという名品のようです。

一つだけ難点を挙げれば、僕の手首が細いので、もうちょっとストラップを短く引っ張れると良かったなーという。まあ適宜ひねったりしてうまいこと調整していますが。

他、買っていないけど…

レキ、ブラックダイヤモンド、シナノは何度も見比べました。部品も通販で買えて、信頼性も高いと思います。気になった方は調べてみてはいかがでしょうか。他にもメーカーはありますが、通販での取り扱いがほとんどなかったりして情報不足のため、僕は諦めました。

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