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焼いた山芋を海苔で包むとめちゃくちゃ美味い

これは文章を書くためのリハビリを兼ねた、三十過ぎた独身男性の日記のような何かである。


去年末くらいから急に会う頻度が増えた友人がいる。ここ最近は定期的にその友人宅にてダラダラ過ごすことが増えた。

毎回お決まりのようにホットプレートへ肉と野菜をぶち込んで酒を飲む。互いに生産性のない近況報告やら、推しの動画やら、今聴いてる音楽を共有し合い、気づけば8時間という恐ろしさ。時空歪んでるのか?くらいに時間が過ぎる速度がおかしい。

出会ったのは10数年前。それから互いに様々な経験を経た。そうして行き着いた先というか、考え方というか、人生観というか、たまたま近かったのが再び遊ぶ頻度が増えた要因であると思っている。周囲が結婚したり、子育てに奮闘していたり、立派に社会人をやっているのを横目に見ながら、出会った頃と変わらない付き合い方ができる友人のありがたさを会うたびに噛み締める。

昨日もいつも通りなテンションで過ごしていたが、今回はひとつだけ明確な目的があった。それは前回なんとなく長芋を焼いたら思ってた以上に美味かったということに端を発する。

「長芋の最高の組み合わせ見つけない?」

俺らは考えた。

とりあえずバター醤油だろ
柚子胡椒も良くね?
明太子とチーズは?
バーナーあるからチーズは表面炙ろう

おっさん2人で長芋と真剣に向き合った。そしてどちらから切り出したのかは忘れてしまった(というか脳死で会話してたから覚えてない)が、「海苔で巻いたら美味そうじゃね?」という話になって割と高めの海苔を追加で買うことにした。まさか、これが大正解だとは思いもしなかった。

友人宅で早速「第一回長芋パーティー」が開催された。切った長芋をプレートで焼くだけなんだけど。とりあえず先に海苔でも試すかという話になる。バターで焼き、醤油を垂らして両面に染み込ませ、それをちょっと高めの海苔で巻いて食べる。口に入れた瞬間、2人に衝撃が走る。

「え……これ……最高なのでは……?」

後ろに控える「柚子胡椒×醤油」「チーズ炙り明太子」「チーズ炙り七味唐辛子」など、俺らが間違いないと思っていた精鋭たちを出す前に気づく。

「おそらくこれを超えられるものは出てこない」

その予感は的中し、長芋はバターで炙って醤油かけて海苔で巻くのが最強という学びを得た。いつも全くといって生産性がないのに、今回は大きな収穫を手にしてしまった。

世の中のアラサーって友だちとどうやって過ごしてんだろという疑問が脳裏によぎるが、今めちゃくちゃ楽しいから気にしなくて良いのかな。

にじさんじのライバーさんたちの動画を見ながらテンションぶち上がるおじさん2人。おすすめのバンドを教え合うおじさん2人。結婚しないことを肯定し合うおじさん2人。美容について情報交換して老化に抗うおじさん2人。そんなおじさんがいても良いんじゃなかろうか。

精神年齢は22歳くらいで止まっている気はする。だから、まだまだ気持ち的には(プライベート時は)大学生。特にその友人といる時は精神だけではなくすべてが大学生に戻れているような錯覚に陥る。だから概念的にはタイムマシーンなのかもな。その友人と2人で会うことは。などと訳わからん感慨に耽って終電に揺られる土曜日の夜だった。

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