8. 相対(あいたい)する主体は「人」
■絶対速度と相対速度
絶対速度とは違い、相対速度は
「ある物体」から”見た”
「別の物体」の“見かけ上"の速さ
と定義されています。
例えば、文字どおり
「ある物体である電車」から"見た“
「別の物体である飛行機」の"見かけ上"の速度
を観測すると、
▼現実の事象
"遠くの空"を移動する飛行機は、電車と
ほぼ「同じ位の速さ」で移動しているように
"見えています"。
あるいは例えば、
駅のホームを3km/hで歩く人が、
同じ方向へ、300km/hで進む新幹線を
すぐそばで”見た”時の新幹線の速さは、
297km/h (300km/h - 3km/h)位に"見えます"が、
しかしながら、同じ速さで
線路が見える場所を3km/hで歩く人が、
同じ方向へ300km/hで走行する新幹線を見た時は
もちろん、駅のホームに居るのとは違い、
"遠く離れた"新幹線は
297km/hよりも、もっと遅く進んでいるように
”見えます”。
当たり前ですが、言うまでもなく
遠くで移動する「別の物体」は、
小さく”見え”
進む距離も、短く”見えます”。
従って、立ち止まって計測した場合
観察者から見た線路の "見かけ上の” 1cmという
距離を、5秒で移動する新幹線の速さは
計算上、1秒で0.2cm、
分速にすると12cm、
時速に換算すると、720cm/hです。
加えて、この動画に映る新幹線は、
15秒後には通り過ぎ、視界から外れ、
”見えなくなる”ことからも判るように
720cm/hという相対速度は
観察者の目の前を通り過ぎる15秒間という
「瞬間の速さ」でしかありません。
或いは、ピッチャーが150km/hで投げたボールを受けるキャッチャーが正面で見るのと、ベンチの選手や観客席など横から見るのとでは、ボールの相対速度(=球速の見え方)は、当然全く異なります。
相対速度の定義である
「ある物体(観察者)」から”見た”
「別の物体」の“見かけ上"の速さ
は、「観察者」の位置によって、また「観察者」と「移動する物体」との距離によって異なり、答えは一つではありません。
それが現実です。 加えて、
目で"見る"という行為をするのは
「人」です。
しかし、物理学では
「ある物体(人)」から「別の物体」を
相対(あいたい)して"見る"のではなく、
「ある物体」と「別の物体」を空想し
物体を相対して”見る”行為の主体が
「人」だという『現実』が捉えられず
相対速度の値は、一つとされています。
科学は、
『現実』に起こる事象を、
人が、目で"観察"し、
人が、手足を動かし正確に実験した上で
人が、脳を使い客観的に考察し、
明らかにするものです。
ですが、非現実的な、事実に則さない
「相対速度」が学校で、子供達に教育され
一つの速度の値だけが正解にされています。
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