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27. 地層に逆向き磁界ができる理由

(1)溶岩が流れ地層を作る「向き」がある

マグマが噴火すると、その土地の地形気温気圧マグマの金属性粘性によって、溶岩の流れる向き流れる速さ固まる速さは異なります。

そしてプレートが動き、火山が噴火し、地震が起き、大地の隆起・沈降・褶曲・地滑りなど、何万年、何十万年をかけ、1個の地球のつながった大地の動きによって「地表や地中や海底の地層の形状・向き」は、歪み、ずれ、変化します。

(火山が噴火した年代場所によって、溶岩の性質は異なり、地層の性質は異なり、また、噴火が大きく、風が強ければ、岩石や火山灰が広範囲に舞い堆積した場で地層の一部を形成するため、その地層ができた年代や場所の特定には、包括的なデータが必要になります。)

(2)金属性の溶岩は、冷えて固まる時に磁性を持つ

金属は一定温度以下になる時に磁性を持つ性質があります。溶岩が冷え「磁鉄鉱(じてっこう)」という磁性を持った結晶を作り固まります。

溶岩に含まれる金属の量や、冷める速さや、流れる向きは、その土地の状況や環境によって異なるため、磁鉄鉱の量や磁性の強さは変化します。

(3)地磁気の強さは場所により異なる

1883年から「地磁気」が観測され、世界の地域によって地磁気の強さは異なることがわかっています。

噴火した溶岩の温度が下がる時に、その溶岩の「磁気」の強さはその場その場で異なり、そして、溶岩の「磁気」が強い場合、その場所の「地磁気」の向きを大きく乱すことが分かっています。

(4)天然磁石の原子は磁区を作る

天然磁石の原子は磁区(=磁界の向きを作るまとまり)を作り、S極・N極交互に向いて、磁力を打ち消し合っています

磁区のイメージ
向きを揃え製造されたのが永久磁石(参考:NeoMag)

(5)海底プレートを地層が形成する

Planetary Poles and Magnetic Fields - Sixty Symbols

海底プレートは地層によって形成され、地層には必ず歪みが生じます。

画像の赤と青の縞模様が示すように、磁界の向きが互い違いになった地層が数多く発見されています。

いわば「磁区」を作る天然磁石のように磁界が交互に向き合っているのがわかります。

(6)電磁石は電流の向きで磁界が変わる

釘に電気を流すと「電磁石」になります。電流の向きが変わると「電磁石」のS極とN極は変わり磁界の向きが逆になることを、理科の授業で学びます。


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つまり、

溶岩が磁性化する際、「地球全体の地磁気」に必ずしも影響されるわけではなく、火山から流れ出た「溶岩の磁気」が地磁気よりも強ければ、溶岩自ら「磁界の向き」を持ち固まることになる。

地球内部の金属の動きにより「超巨大な磁石」になっている地球の磁界の向きが真逆になるには、地球内部の金属の流れる向き(科学理論上の電流の向き)が一斉に逆にならない限り不可能であり、同じ方向へ自転し続ける地球の磁界が何度も逆転するには余程のエネルギーがなければあり得ない。


ことがわかります。


また、世界の国々の各地域で、緻密に大地が調査され、分かっていることがあります。

  • 過去と比べると地球の温度や自転速度は変化し、それに伴い地磁気の強さも変化している。

  • 北極点はゆらゆら移動している。

  • 地磁気は、地球が宇宙からの影響を受けずに存在できるためのバリアになっている

  • 地磁気のエネルギーは、生物が生きるために極めて重要なもの


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「地磁気」という言葉に馴染みがなく、チバニアンという言葉を聞いたことがあっても、「逆向き地層」や「磁石岩」に関心がない人が、少なくないかもしれません。

何十億年かけて地層が作られてきた時代の一つに、「チバニアン」という日本の地名が付けられたことは、日本人としてとても名誉なことだと思うのですが。



気象庁地磁気観測所
倉敷市立自然史博物館
名古屋大学
日本経済新聞
NHK for School
NeoMag


→ 28. 有機物が地球を創った(前編)




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