FXノート「FXトレーダーに役立つ書籍をご紹介します」

今回のトレードコラムでは、FXに関する辛口な書籍をご紹介します。


『なぜ専門家の為替予想は外れるのか』(富田公彦著 ぱる出版)

筆者は元JPモルガン・チェース銀行で副本部長などを歴任し、その後ヘッジファンドの経営に関わった為替取引のプロである。

彼は著作の最後で、次のような強烈な主張をしている。

「あらためて申し上げます。悪いことは言いません。FXには近づかないで下さい。個人投資家のみなさんの来るべきところではありません。」

著者の主張を一言でいうと、まさに上の一文に尽きるのだが、彼の主張の根拠は次のような点である。

①プロと個人投資家の置かれた投資環境、情報量とスピードに大差があること

著者は、為替取引にとって本当に重要な情報は、ディーリングルームでしか分からないと言う。

個人投資家にニュースなどが届くには大きなタイムラグがあり、
遅れた情報に基づいて判断する個人投資家が勝てる可能性は乏しい。

②相場の予想に全く役立たない専門家のコメントを重視する個人投資家に勝ち目はない

金融機関には相場の予想をする「ストラテジスト」と呼ばれる人たちが在籍しているが、金融機関で実際に取引をする人たちに、ストラテジストの予想を参考にしている人は全くいない。

ではなぜ金融機関にストラテジストが存在するのかというと、一つには顧客サービスのためであり、もう一つには会社の宣伝のためと主張する。

③現場のプロが全く相手にしないチャート分析に頼る個人投資家に勝てるはずがない

90年代にチャート分析が為替取引に応用できるかを外国の金融機関が徹底的に検証した結果、全く有効性がないことが知れ渡り、現在ではテクニカル分析で相場を張る金融機関は無いと断言している。

著者は為替取引で勝つことの難しさを、著作全般で繰り返し述べているのだが、彼が例外的に勝っている同僚や個人投資家について記述している部分があり、私はそこにとても興味を感じたので、最後に指摘しておきたい。

著者は為替相場で長期間利益を上げている同僚のことを「天才スポットディーラー」と呼び、彼らについて次のように述べている。

「いずれにせよ、相場が大荒れになりほかのディーラーの手がすくんでいる時に、逆にうれしそうに取引する天才君の頭の中身を分けてもらうのはあきらめたほうが良いと思います。

ちなみに、普通のスポット・ディーラーは、相場と勝負をしている訳ではありません。お客さんとの取引の処理を利用して、稼ぐ事が仕事です。自分からリスクを取りに行くのは、得意ではありません。

天才君は後輩に向かって『お前、なに客と勝負してんだよ! 相手はマーケットだろ』とよく怒っていました。」

一方、FXで大儲けしている個人投資家については、実力とは無関係に確率的に一定数存在すると指摘し、運よく儲けた個人投資家がブログやメルマガで発信する情報は、全く役に立たないものだと主張している。

このくだりは、「まさに私のことか!?」と思い、複雑な気持ちになった(笑)。

FXは簡単に勝てるという著作が多いなか、これだけ辛口のコメントで埋め尽くされている本著作は、読んでいて感心するほどであり、ぜひ読者の皆さんにも一読をオススメしたい。

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