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職業に貴賤はないのだ

注:写真は海外で撮影したものである。本文とは全く関係ない。

今回も、架空の話をしようと思う。

以前、面と向かって「偉そうにしてるだけで楽してお金がもらえて、いい仕事ですね」と言われたことがある。即座に「あなたもやったらいいじゃないですか」と返答し、「やりましょうよ、楽なんでしょ、ね?」と追撃した。相手は「いや、その」と下を向いた。

やってもないのに楽とか言うなや、と私は思った。

以前も書いたが、私は自分の仕事に誇りを持っている。周りと比べたら決して有能ではないし、かろうじて組織で生き延びている状況であるが。飯を食らい金を使って生きていくためには、医者も弁護士も主婦(夫)も和菓子屋もみんな働かねばいけないのだ。家賃収入で生きている人だって、管理の労があるはずだ。

ネットにはいろんな人がいて、いろんなことを言っている。もちろん素性にフェイクはかけているだろうが、いろんな職業の人がいる。やったことのない職業について話しているのを読むのは割と好きだ。夜の職業の人のSNSをのぞくこともある。

最近このアカウントのマシュマロ回答を読んでいる。使ったことはないのだが、マシュマロというのは質問箱のようなもので、匿名での質問やコメントを送ることができる機能のようである。興味深いやり取りがいくつかある。

パキちゃんというこのサイト、的確でユーモアのある回答をしていて面白い。語尾をゆるくしているが、「パキちゃん」というキャラクターを複数のクリエイターが管理しているのではと思うレベルの回答だ。

夜職で学費を稼ぎたい、という質問はほかにもあったように思う。自分が学生だった頃に親が失業したことがあったので、他人ごとではないと感じる。収入が高い家であっても学費を出してもらえない家庭もあるので、収入にかかわらず大学までは学費免除にしたほうが良いのではと思ったりもする。

夜職もいい大学に行ってる子が多い、逃げ癖がついた子は稼げない、という言葉が刺さる。2000年くらいから、○○大学に通っている子がこの仕事を!みたいな取り上げられ方をするようになったのような気がする。少子化により大学が一般化したこともあるのだろう。

SNSなどにより、こうした職業のイメージも変わってきている。そのため、かつては夜の仕事で稼げた子がはじき出される可能性も考えられる。

みいちゃんと山田さん、という漫画も夜職の女性たちを描いたものだ。みいちゃんを取り巻く状況が悪化していくのが見るに堪えないが、作者の描写力がすごくてついつい読んでしまい、みいちゃんのことを好きになってしまう。興味のある人はぜひ読んで欲しいが、物語の終幕が悲しいものになることは決まっている。

最近は休載しているようだ。続きが気になる一方で、みいちゃんがこれ以上辛い目に合うのは見たくないという気持ちもあって、すごく悩ましい。でも続きは読みたい。つらい。

さて、話は変わるが職場に許せないやつがいる。同世代の男性なのだが、とにかくギラギラしている。フィリピンの政治家のドゥテルテ氏を丸顔にしたようなやつなので、Dと呼ぶことにする。

仲間内で飲んでいた時、Dがこう言っていた。

「女って結局、楽に稼げる仕事があるからいいよなあ」

この一言で、私はこいつを嫌いになった。我々は等しく社会の歯車である。色や形は違えど、キリキリ回って社会を成り立たせているのだ。働いていない人もいるけど、その人の生活のために誰かが働いている。知らないことを語るのは難しいが、楽に稼げる仕事なんてないと思うし、そうやって見下すのは愚かなことだ。

Dは中途採用なのだが、職場に来るや否や、既婚者の癖に職場全員の女性を口説こうとしていた。コロナ前のことである。なんと恐ろしいことに「俺、ファキ田さん(私)もいけるから(ドヤァ)」と言いやがった。なにいうとんねん。BBAを使って守備範囲の広さをかたんなや〇すぞ。

Dの奥様は一回り年下の超絶美人である。D本人曰く、立場の差を利用してまだ学生だった奥様とぐいぐい距離を縮めて、最終的に結婚したらしい。しかし、飲み会になるといっつも奥様の悪口なのである。それもまあ、屁理屈としか言いようのない話で、気分が悪い。「子供産んでから女捨ててんだよ、掃除もしないし」みたいな話である。ゴミくらいお前が捨てろや屑野郎。しょうもないやつやなあと私は思っていた。

しかし、しかしである!そんなDにおちる女がいたのである。その子も一回りくらい年下で、私は彼女(Rさん)と割と仲良くしていたのだ。Rさんは独身で、職場の他の独身男性に片思いしていたはずなのだが、いつのまにかDと仲良くなり、私とお茶しているときもDの話ばかりするようになった。空気の読めなさには定評がある私なので、当時は全然気が付かなかったが、なんと不倫していたらしい。

なぜ気づいたかというと、Dが職場の飲み会で「俺、Rさんとやったんだよね」と自慢したからである。男性しかいない飲み会の場で何度か自慢していたようだ。何人かがRさんと親しい私に「ファキ田さん知ってますか?」と聞きに来たのだ。怒りのあまり血圧が上がった。なお、話を聞いた男性陣はDの話にひいていたようだ。

確かめるのは勇気がいったがある日、私はRさんに「Dが職場の女性をおとしたって自慢してるらしいけど、Rさん何か知ってる?」と聞いてみた。Rさんはわかりやすく動揺し、私は察した。

なんやかんやあって、Rさんは仕事を辞めて、地元に帰っていった。その後連絡が取れていない。Dが100パーセント悪いとは言わないが、嬉し気に自慢する気持ちが理解できない。貴様にとって女は経験員数カウンターを回す道具か。職場で不倫やってんちゃうぞ〇ね。可能であれば〇したい。

そんなDのいる職場全体の飲み会がある。コロナで飲み会がなかったので、Dと飲み会で席を共にするのは久しぶりだ。今から憂鬱である。あのくそ野郎は敬語が使えないのだ。それもむかつくポイントである。

できるだけ離れた席に行こうと思うが、万が一近くに来られてため口で話しかけられたら焼酎の瓶でどつきまわしてしまうかもしれない。書類送検にならないために、アルコールは控えたいところだ。

いや、もっと周到にハラスメントの証拠を固めて合法的にやるべきか。そのほうが組織のためなのか。それとも奥様に垂れ込むべきなのか。たぶん、まだ離婚はしていないはずだ。

再度申し上げるが、この話は架空のものである。

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