未来を照らす、子どもの居場所

長野県上田市にある2つの子どもの居場所。それを運営している団体が今、活動継続に向けて奮闘しています。1つは劇場兼ゲストハウス・犀の角が拠点の「うえだイロイロ倶楽部」。もう1つは映画館・上田映劇が拠点の「うえだ子どもシネマクラブ」。

劇場と映画館。イロイロ倶楽部とシネマクラブ。似ているようで、ちょっと違う。でも、大切な子どもたちの居場所。今回はそれぞれの活動への応援の気持ちを込めて筆をとりました。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

うえだイロイロ俱楽部とうえだ子どもシネマクラブ

まずはうえだイロイロ俱楽部とうえだ子どもシネマクラブの活動と違いについて簡単にご紹介します。

うえだイロイロ俱楽部とは

犀の角が拠点。劇場ならではのクリエイティブな学びを行うクラブ活動。「ダンボール部」や「まちなか探検部」といったオリジナルの部活動を作り出している。障がいの有無や国籍を問わず、 6歳から18歳までの子どもと若者が参加。高校生や大学生、社会経験を持つ大人など地域住民もボランティアとして参加している。

出典:長野県みらいベース「うえだイロイロ倶楽部」より

うえだ子どもシネマクラブとは

上田映劇が拠点。映画館を学びの場として、また何もしなくても過ごせる居場所として活用している。学校に行きづらい、あるいは行くのをやめてしまった子どもたちをはじめ、保護者や若者も訪れている。映画の無料上映会や映画館業務のお手伝いを行う「平日シネマクラブ」などを行なっている。

出典:長野県みらいベース「うえだ子どもシネマクラブ」より

2つのクラブへの印象

名前もすこし似ていて、活動拠点も近い2つのクラブ。わたしはそれぞれの活動を「静」と「動」という印象で捉えています。「まちなか探検部」に代表されるようにイロイロ俱楽部は、街へ出たり、あるいは子どもたち自身の「やりたい」を形にする能動的でアクティブな活動。

出典:長野県みらいベース「うえだイロイロ倶楽部」より

一方でシネマクラブは「映画」が中心にあり、何もしなくてもそこにいていいという特徴があります。映画を観る、あるいは映画館のお手伝いをする。それらは比較的静かな活動です(ときどき、写真のようなワークショップもあります)。

出典:長野県みらいベース「うえだ子どもシネマクラブ」より

わたしは、この2つの活動が近い距離で行われていることに、希望のようなものを感じています。例えばシネマクラブで静かに過ごしていた子がエネルギーを蓄え、イロイロ俱楽部で「やりたい」を形にする。あるいはイロイロ俱楽部で活動している子が、ひと休みがてらシネマクラブで静かに過ごす。そんな選択肢が子どもたちにある。そう思うと勝手に明るい気持ちになります。

明かりを灯す人びと

2つのクラブには、日々、子どもたちと向き合い奮闘している大人がいます。わたしは彼/彼女らを心の中で「明かりを灯す人」と呼んでいます。なぜなら活動を通して子どもたちの現在、そして未来、あるいは心に明かりを灯しているように見えるからです。そんな明かりを灯す人びとの言葉を紹介します。

うえだイロイロ俱楽部で明かりを灯す人

伊藤茶色さん(本人提供)

イロイロ俱楽部で明かりを灯している伊藤茶色(いとう ちゃいろ)さん。茶色さんが綴った活動への想い。その中でわたしが強く印象に残った部分がこちらです。

それぞれのやってみたい・やりたくないを聞き合いながら、この時間を一緒に過ごしていると、知らない彼らに出会う。これがもしかしたら彼らのまだ知らない「私」の発見につながっているかもしれないとワクワクする。今の種まきはどれくらい経ってから発芽するかはわからないけれど・・。

困った子と言われるのは親や先生から見た今のところの様子であって、彼らはまだ「私」が見えていなかったり、表現がまだできていないだけなのではないかと思う。「私」が見えてくる・表現するようになるまでには、時間が必要。その時間の中で、自分が「これだ!」と思える物・事・場・人との出会いが必要だと感じてる。それが他者と繋がれる何かになるのかもしれないし、今見えていないものを見せてくれる生きていく術になると思う。
「はじめまして。うえだイロイロ倶楽部に関わる私のお願いごと。」より

まだ「私」が見えていない子どもたちがイロイロ倶楽部を通して「私」を見つけていく。これだけで上田にイロイロ倶楽部があることの尊さを感じます。noteでは茶色さん自身の経験にも触れながら想いをしたためているのでぜひご一読を。

出典:長野県みらいベース「うえだイロイロ倶楽部」より

茶色さんと共にイロイロ俱楽部で明かりを灯している村上梓(むらかみ あずさ)さんの言葉も紹介させてください。

村上梓さん(本人提供)
ここでの出会いが、もしかしたらいつの日か
彼らのささやかな心の支えになるかも知れない。
小さな、生きる希望になるかも知れない。
決して、大袈裟なことではないと思うのです。
村上梓さんのFacebookより

茶色さんも梓さんも、わたしと同じ歳。演劇と映画。近い領域で活躍する同世代が子どもたちと向き合っている。尊敬せずにはいられない2人。その2人が紡いだ言葉には力強さと優しさが溢れています。イロイロ倶楽部の活動は、きっと子どもたちにとって「生きる術」「生きる希望」になるでしょう。そうなってほしいと願うばかりです。

うえだ子どもシネマクラブで明かりを灯す人

直井恵さん(筆者撮影)

シネマクラブで明かりを灯しているのは直井恵(なおい めぐみ)さん。直井さんもまたFacebookで想いをしたためています。

”嫌なことを忘れて楽しめる場所。映画で心が癒される。そこの映画館に行くと応援してくれる人がいっぱいいるから嬉しい。(シネマクラブに通う高校生より)”

このシンプルな言葉が表すように、子どもたちが日常の嫌なことを忘れて、ワクワク楽しい時間と場に出会えますように。まずは映画館に「避難」して、充電できる時間をみんなで支えることができることを願っています。
直井恵さんのFacebookより

直井さんの子どもたちへのシンプルで切実な願い。同じく上田映劇に携わる者として、わたしも切に願っています。

出典:長野県みらいベース「うえだ子どもシネマクラブ」より

未来を照らす、子どもの居場所

わたしには子どもがいません。でも、うえだイロイロ倶楽部とうえだ子どもシネマクラブ、この2つの居場所の大切さはひしひしと、あるいはずっしりと感じています。だからこそ、今回、筆をとりました。

2つの活動は今、長野県みらいベースを通して寄付を集めています。似ているようでちょっと違う。映画館と劇場。静と動。それぞれがそれぞれに、子どもたちの居場所として未来を照らしています。願わくば2つの活動を合わせて応援していただければ幸いです。

寄付はもちろん、このnote、あるいはnoteの中で紹介した記事やFacebookの投稿をシェアしていただけるだけでも、力になります。寄付の受付は2月28日まで。引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします。

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